恋するつらさの花
彼の肩を女の子が笑いながら叩いている。
周りは笑っているから何か楽しい話をしているのだろう。
彼は本当にたくさんの友人がいる。
あのグループとは私は友人ではないから交ざりにいくこともできない。
羨ましい。
私はあんなふうに彼に触れることはできない。
知らず知らずのうちに溜め息が漏れる。
彼に恋をしなければこんなつらさを知らずに済んだのに。
そう思ったとしても、たとえ時間が巻き戻ったとしても何度でも彼に恋をするのだろう。
恋するつらさよりもその幸せのほうが大きいから。
恋を知ったからこそ知れた自分というものもいる。
話せるだけで、笑顔を見れるだけで幸せな気持ちになれるなんて知らなかった。
彼に会えると思うだけで学校に来るのが楽しくなるだなんてそんな自分なんて知らなかった。
それが意外と嫌いではなかった。
彼は私の気持ちにはちっとも気づいていない。
たくさんいる友人の一人としか見ていない。
私の姿を見つければ気軽に話しかけてくれるのに。
それさえも多くいる友人たちと同じだ。
今も私には気づかない。視線も向くことはない。
ぎゅっとトリトマを模したキーホルダーを握りしめる。
トリトマの花は何となく彼に似ている気がして、このキーホルダーを見つけた時に、奇跡だと思って思わず買ってしまったのだ。
華やかな色で数多の視線を集める姿などそっくりだと思っている。
意外と握り心地のいいこのキーホルダーも今だけはまるでつきつきと刺してくるような気がする。
いつか彼は私に振り向いてくれるだろうか?
それとも私の恋心を無惨に切り裂くだろうか?
まだ今の関係から抜け出す勇気が持てない。
今告白しても成功する確率はゼロに近い。
それなら少しでも可能性を上げてから告白したい。
まだ、この恋を手放したくはない。
読んでいただき、ありがとうございました。




