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小さな花の物語  作者: 燈華


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かくされた心の花

「……聞かないの?」

「聞かないよ」


そうはっきりと告げれば彼はほっとしたようだった。


無理矢理にでも聞き出すと思ったのだろうか?


かくしごとなどしないことが愛する条件ではない。

誰にだってかくしておきたいことはあるだろう。

特に、その心など。


かくされた心を暴く必要はない。

かくされたものはかくしたままで。

他人が土足で踏み荒らしていいことではない。

それでも寄り添うことも一緒に生きていくこともできる。

それでいいと思う。


「……ありがとう」

「お礼を言われる理由はないよ」

「ううん。ありがとう」


彼は少しだけ微笑(わら)う。


何度そうやって傷つけられてきたのだろう?

何度心の柔らかい部分を無遠慮に触れられてきたのだろう?


壁に飾られた藪蘭の写真をちらりと見る。

まるであの藪蘭のようだと思う。


庭園の下草に使われることが多い藪蘭は葉っぱだけでは目立たない。

だけど花が咲くと違う。

綺麗な紫色の花は小さくとも心惹かれる。


控えめなのにどことなく目を引く彼に皆無意識に手を伸ばしてしまうのだろう。

その心を知りたくなるのだろう。

無理矢理に暴いてでも。


私はそんなことはしない。


固く固く誓った。



読んでいただき、ありがとうございました。

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