じれったいの花
二人が立っている手前にある花壇ではステルンベルギアの花が寄せて植えられている。
その鮮やかな黄色が目を引くが今はそれどころではない。
幼馴染みと同じグループの友人が話しているのを少し離れた場所から見ている。
楽しそうだ。
むぅっと思わず眉根が寄る。
それから慌てて皺を伸ばした。
皺になっちゃう。
それにしても。
見ているだけでじれったい。
だってどう見ても両想いだ。
お互いを見る瞳の中に確かに熱がある。
何で気づかないのかと不思議に思うくらいだ。
周りはとっくに気づいている。
気づいていないのは当事者だけだ。
早くくっついてしまえ。
外野がいくらやきもきしても本人たちが動かなくてはどうにもならない。
「ああもう、本当にじれったい。早くどっちでもいいから告白すればいいのに」
思わず小声で言えば私の隣で彼らを見ていた男友達が真剣な顔で訊いてきた。その瞳には心配そうな光が見え隠れしている。
「お前はそれでいいのか?」
「何が?」
「だってお前はあいつのことが好きなんじゃないのか?」
思ってもいないことを言われてきょとんとしてしまう。
「え、全然。ただの幼馴染みでしかないけど」
「そうなのか?」
「そうだよ。え? 何でそんな誤解されてるの?」
「何でってよく見てるし」
「じれったいなって思って見てるだけ」
「そうなのか?」
「だってじれったくない。端から見れば両想いなのにもだもだしてるんだよ?」
「まあそれはそうだが」
「何が納得いかないの?」
何故か彼は無言で私を見下ろしてくる。
少し居心地が悪い。
「な、何?」
彼は唇の端を上げて微笑んだ。
本当に何?
「そうか。そうなんだな。なら、遠慮はいらないか」
「ん?」
「今はわからなくていい。だけど覚悟しておけよ?」
「な、何を?」
「まあそのうちわかる」
「今知りたいんだけど!?」
彼は微笑うだけでそれ以上何も言うことはなかった。
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