↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小さな花の物語  作者: 燈華


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

277/312

悲しみにくれるあなたの花

竜胆の花を活ける。

その花瓶を仏壇の前に置いた。

線香を上げ、手を合わせる。


目を開け、置かれている写真を見る。

まだ若い女性が柔らかい微笑みを浮かべていた。

息子の、妻だ。


息子は妻を亡くしたばかりだ。

病気が見つかった時にはもう手遅れで、みるみるうちに衰弱して旅立ってしまった。

それが先月のことだ。


母である私が息子のためにできることは身の回りの世話くらいだった。

妻に先立たれて息子はすっかりと気力をなくしてしまった。


とても仲のいい夫婦だった。

幸せそうな姿にほっとしていたというのに。


二人の間に子供はいなかった。

それがますます息子の気力を奪っているような気がする。

子供がいればその子のために奮い立たせることもできたただろう。

言っても仕方ないことだけど。


そっと息子を振り向く。

嫁の愛用していたショールを手に持ってぼんやりとしている。

きっと思い出の中を揺蕩(たゆた)っているのだろう。


心の中でそっと声をかける。


悲しみにくれるあなた。

今は悲しみにどっぷりと漬かっているといい。


そんな時間も必要だ。

悲しむ時はきちんと悲しむべきなのだ。

だけど、いつかはーー


私は仏壇に置いた嫁の写真に視線を向け、心の中で呟いた。


どうか息子が微笑(わら)える日が来ても許してあげてね。



読んでいただき、ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。