野性的な美しさの花
野趣豊かな庭だ。
だがその力強さは野性的な美しさを感じる。
その中に目を引く黄色い花がある。
黄花コスモスだ。
そのお陰で荒れているというより野趣的な庭という印象にしているのだろう。
まあ、ただ人が踏み入るのには少しばかり躊躇する。
手入れをするのも大変だ。
「荒れてるだろ?」
「というより放置しすぎ?」
「否定できない」
「どうするの?」
「とりあえず刈るしかないな」
「……そうだね」
このままではさすがに住めない。
「中は定期的に窓を開けてたし、掃除もしてたんだが、さすがに庭までは手が回らなかった」
「そっか。まあ短時間の滞在だとそうなるよね」
中が優先で庭までは手が回らない。
それは仕方ないことだ。
ここは彼が伯母から相続した家なのだそうだ。
独身だったその伯母の最期を看取ったのだとか。
そのまま遺言で伯母の財産の相続人になったと言っていた。
二人で話し合い、ここに住もうということになった。
幸いにしてここからなら二人とも職場に通うのに問題はない。
といってもすぐに住めるわけではない。
まずは住めるように手を入れなければ。
彼が定期的に空気の入れ換えとかをしていたとしても人が住まない家はどうしても空気が淀む。
残っている彼の伯母の物も片付けなければならない。
私は今日初めてこの家に来た。
まだ中は見ていない。
彼の伯母がどのような趣味の持ち主かはわからない。
二人の好みに合えばそのまま使えると思う。
それは見てみないと何とも言えない。
この庭は庭で綺麗だと思うから刈るのももったいない気もするが、さすがに住むとなると刈らざるを得ない。
彼が黄花コスモスを指差す。
「あの黄色の花、あれだけは残しておきたい。伯母が好きだった花なんだ」
「うん、もちろん。私もあの花好きかな」
「よかった。ありがとう」
「そんなこと当然だよ」
「君がそういうふうに言ってくれる人でよかった」
「貴方の大切な伯母様の遺したものだもの。私も大切にしたい」
「うん、ありがとう」
彼はほっとしたように微笑った。
彼は彼なりの負い目みたいなものがあったのかもしれない。
そんなこと、気にしなくていいのに。
ここに住むと決めたのは私自身だ。
「さあ中も見せてちょうだい」
「うん」
私たちは玄関に向かって歩き出した。
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