高潔の花2
オレンジ色の細い花びらが上に向かうようにして咲いている。
あまり見ない様相の菊だ。
高潔さを感じる。
「嵯峨菊だよ。嵯峨は嵯峨天皇の嵯峨」
隣を歩いていた彼が私の視線の先を見て教えてくれる。
「嵯峨菊」
名前からしても高潔さを感じる。
「そう。京都にある嵯峨村のこととか、嵯峨天皇の名からとか由来は諸説ある」
「へぇ。そうなんだ」
天皇由来説があるならやはり高貴だ。
「教えてくれてありがとう」
「君は嫌がらないんだね」
きょとんとする。
どこに嫌がる要素があったのかわからない。
彼は眉を下げた。
「余計な説明はいらないっていう人も多いから。知識をひけらかすなって言われることもある」
「そっか。私は助かったけどな」
きっと知識を得ることに興味を持たないタイプの人たちだろう。
いやコンプレックスがあるのかも。
そんな人にばかり当たった彼はちょっと運が悪かった。
「本当?」
「もちろん」
彼は眉を下げたまま窺うように私を見る。
「これからもたぶん知っていることを言っちゃうと思うけどいい?」
「うん。むしろ嬉しいかな」
「本当?」
「もちろん」
「ありがとう」
ふわりと彼が微笑む。
その笑顔があまりにも嬉しそうで、こちらまで嬉しくなるようなもので、気づけば彼へ二度目の恋に落ちていた。
読んでいただき、ありがとうございました。




