上機嫌の花
「上機嫌だね。何かいいことあった?」
今にも鼻歌を歌い出しそうな彼に訊く。
「うん。とってもいいことがあった」
「そう。よかったね」
「何があったか訊かないの?」
「訊いてほしいの?」
彼は腕を組む。
「悩むところだね。話してしまいたいような、僕の胸にしまっておきたいような」
そんなふうな態度を取られれば気にはなる。
これも作戦なのだろうか?
やっぱり訊いてほしいのだろうか?
それとも本当にどうしようかと考えているのだろうか?
わからない。
だから敢えて相手に委ねる。
「まあ話したくなったら話してよ」
「待って。やっぱり話す」
「うん」
彼はスマホを操作する。
「見て。当たったんだ!」
スマホには当選通知が表示されていた。
「抽選で五人に当たるって言われて応募した折り畳み自転車。ほしかったんだ」
そう言えば折り畳み自転車がほしいと言っていた。
折り畳み自転車のことは詳しくは知らないが、きっと性能もいいものなのだろう。
「よかったね」
「うん。それと、」
またスマホを操作し、写真を見せてきた。
山吹色の花の絵のついたペアのマグカップ。
説明によるとヘレニウムという花らしい。
「これも買えた」
彼の趣味ではないのに、どうしてそんなに嬉しそうなのだろう?
「好きだろ、こういうの」
「え、あ、うん」
「届いたら一緒に使おうな」
どうやら私のためだったようだ。
嬉しい。
私は満面の笑みを浮かべた。
「うん! ありがとう」
「どういたしまして」
そう言って、彼も微笑った。
読んでいただき、ありがとうございました。




