温和の花
彼の後に続いて門をくぐった。
玄関までの道を歩く。
落ち着かずついきょろきょろとあちこち見てしまう。
ふと赤い花が庭に植えられているのが目に入った。
私はその花を知っていた。
紅蜀葵。
アメリカ原産だけど、華やかな色なのにシックさも感じるその色は日本の庭に不思議と馴染んでいる。
私もこんなふうに馴染むことができるだろうか?
それとも馴染めずに弾き出されるだろうか?
温和な彼を信じてついたきたけれど。
彼が振り向く。
いつの間にか立ち止まってしまっていたようだ。
「大丈夫? 緊張してる?」
「うん、緊張してる」
素直に伝える。
彼が近づいてきて両手で私の両手を包むように握った。
「そんなに緊張しなくて大丈夫。でもそう言っても緊張はしちゃうよね」
「うん」
「僕がついている。僕はどんな時も君の味方でいると決めているんだ」
「ありがとう」
何とか顔に微笑みを浮かべた。
今日、彼のご家族に挨拶に来たのだ。
彼の家族は私を気に入ってくれるかと不安だった。
それと同時に粗相をしてしまわないかも。
「行きましょう?」
「大丈夫?」
「あなたがそう言ってくれたからもう大丈夫」
彼がほっとしたように微笑う。
そして私の手をそっと引いて歩き出した。
読んでいただき、ありがとうございました。




