思案の花
「そうだな。どうするか?」
彼が考え込む。
思案する、その表情に見惚れる。
余程集中しているのか私の視線には気づかないようだ。
思考を巡らせている時の彼の表情が一番格好いいと思う。
何度見ても見惚れてしまう。
彼が格好よすぎて他に何も考えられない。
私も考えなければならないことはわかっているんだけど。
こればっかりはどうにもならない。
彼を見ればどうしてもうっとりとしてしまう。
ちなみに違うほうを見るという選択肢はない。
見られる時に見ておかなければもったいない。
視線を上げた彼と目が合った。
「……もしかしてずっと見てた?」
にへらと微笑って誤魔化す。
彼が半眼になる。
「人にばかり考えさせて」
「ごめん?」
「何で疑問形? 悪いとは思ってないでしょう?」
「一応考えようとしたよ」
「で?」
「君の考えている顔が格好よすぎてつい見とれちゃって何も考えられなかった」
「すぐそんなことを言う。今日は誤魔化されないから」
「いや、本当なんだけど」
彼の目はまだ疑っている。
「どうしたら信じてくれる?」
「そう言われても……」
彼の眉が下がる。
困らせるつもりはない。
「まあ信じてくれなくても、私が勝手に思っているだけだから」
「そっか……とは言いにくい」
「んー、じゃあ忘れて」
「それも無茶な」
「今はこっちでしょ」
ぽんと広げている萩を始めとした秋の七草のイラストを叩く。
ここに動物を足して商品化を目指しているのだが、どういう動物を足してどのような商品展開をしていくかを考えている最中なのだ。
プレゼンまでもう日にちがなかった。
「誰のせいだと思ってるの」
「ごめん。私もちゃんと考えるから」
「本当にそうして」
「うん」
彼が再び視線をイラストの描かれた紙に落として考え込む。
私も彼から視線を外して紙に視線を向けた。
読んでいただき、ありがとうございました。




