尊敬の花3
花壇の手入れをしている彼に近づく。
彼はここの花壇の手入れを仕事として請け負っていた。
彼の後ろからそっと覗き込む。仕事の邪魔をする気はなかった。
花壇には初秋の花がいろいろと植えられている。
見ているだけで楽しい。
ふと紫色の花が咲いているのに目を留めた。
見たことのある形だ。
「これってサルビア?」
「そうだよ」
思わず話しかけてしまったが彼は気にした様子もなく答えてくれる。
こういうことは多いのかもしれない。
「へー、サルビアって紫色もあるんだ。赤色だけだと思ってた」
「意外と知られてないんだよね」
「うん。知らない人が多いと思う」
「だからこうして植えてみた」
確かにここなら大勢の人に知る機会が得られる。
「確かに目に留まりやすいかも」
「そうだと嬉しいな」
それでいてきちんと周りと調和している。
バランスよくいろいろな花が植えられているのだ。
「本当にこういうセンス、尊敬する」
「ありがとう。僕こそいいものはいいと素直に認められる君を尊敬するよ」
「あ、ありがとう」
そうやって褒められると照れてしまう。
「仕事の邪魔をしちゃ悪いからもう行くね。またね」
「うん、また」
私は足早にその場を後にした。
離れたところまで来て、もう一度彼の働く背中を見る。
「頑張って」
そっと告げる。
そして今度こそ振り返らずに歩き去った。
読んでいただき、ありがとうございました。




