高潔の花
「菊人形?」
「うん。祖父と一緒に作ったものが展示されるから一緒にどう?」
「私、そういうのよくわからないけど、大丈夫?」
「大丈夫、大丈夫。別に高度な知識とかいらないし」
「じゃあ行こうかな」
彼は嬉しそうに微笑った。
「ちなみに、菊を趣味で育てているって聞いてどう思う?」
「何か高潔な趣味って感じ」
「あー、好かない?」
「というより、縁がないというか、私から遠いものだなって感想しかない」
「そっか」
「うん、私はやっぱ普通の一般的な趣味のほうがいいな」
どよーんと彼が落ち込んでしまう。
そこで彼の趣味を否定してしまったことに気づいた。
私は慌てて言葉を重ねる。
「でも趣味を否定するつもりはないよ」
「ありがとう」
彼は落ち込んだままだ。
ますます慌てる。
「あくまでも私がやるならということだから」
「う、うん」
「それにやったことがないからイメージしかできないし」
「そっか……。そうだよね……」
どんどん彼は落ち込んでいってしまう。
ますます焦って思わず言ってしまう。
「こ、今度、見に行ってもいい?」
ぱっと彼が顔を上げて私を見る。
「もちろん! いつでも大歓迎だよ!」
「ありがとう。今度行かせてもらうね」
「うん、待ってる!」
「楽しみにしてるね」
「うん!」
輝くような笑顔の前に興味がないとは言えない。
これも惚れた弱みだろう。
読んでいただき、ありがとうございました。




