気どりやの花
鉢には鶏頭が円を描くように規則的に植えられている。
赤や黄色やオレンジなど、鮮やかな色が目を楽しませてくれる。
その前にしゃがんでちょんと鶏頭をつつく。
「気取りやって言われちゃったんけど」
気取りやって何だろう?
私はただ好きにコーディネートしたものを魅力的に見えるように考えているだけなのに。
その身のこなしを気取っていると見られたようだ。
まあたぶん私のことが気に入らないだけなんだろうけど。
またつんと鶏頭をつつく。
「でも、気取りやって今じゃあまり使わないよねぇ」
「そうだね。誰に言われたの?」
「え?」
完全に独り言のつもりだったので驚く。
慌てて振り向けば友人がいた。
「君のことを気取りやって誰が言ったの?」
「お、怒ってる?」
「うん」
短く肯定されてしまった。
「な、何で?」
「君が悪く言われて怒らないとでも?」
そこまで怒るとは思っていなかった。
だけど怒れる彼を前にそんなことは言えなかった。
「僕は君のことに関しては狭量だと自覚しているけど、許せないんだ」
それも初耳だった。
彼はそんなに友情に厚い人だっただろうか?
どちらかというと人間関係には淡白な質に見えていたけど。
彼は真剣な瞳で私を見る。
「気づいてなさそうだから言うけど、僕は君のことが好きだ」
「え!?」
「やっぱり気づいていなかったね。だから君を悪く言われるのは許せないんだけど」
彼が後半の言葉を怒気を込めて言ってきたが、私はそれどころではない。
彼の告白に動揺してしまい、私を貶してきた人のことは記憶の彼方に吹っ飛んでしまった。
「ごめん、待って。頭が追いつかない」
「あー、いきなりでごめんね。これはもう君に意地悪を言った人間のことも聞けないかな?」
「そんなささいなことよりこっちのほうが大事だよ」
「あー、うん。わかった。そして、ありがとう」
「うん?」
「僕の告白のほうが大事だって言ってくれて嬉しかった」
「あー、だってね、悪口を言う人と傍にいる人なら傍にいる人に時間を割きたいよね」
「そういうふうに考えるところも好きだよ」
「うー、あー、ありがとう。でも私、ずっと友達だと思っていたから」
「それもわかっているよ」
「でも、ちゃんと考えるから。少し時間をもらってもいい?」
「もちろん」
「ありがとう」
いつでも傍にいてくれる彼のことを真剣に考えよう、と心に決めた。
何となくもうそれで答えは出ているような気もするけど。
読んでいただき、ありがとうございました。




