魅惑的の花
ざわりと空気が揺れた気がした。
思わず空気が揺れた先を見た。
女性が一人、歩いていた。
大きな柄のワンピースをさらりと着こなして。
あの柄はアマリネだろうか?
着こなすのが難しそうな柄だがそれが驚くほど似合っていた。
魅惑的な身体と微笑み。
誰もが彼女に見とれる。
きっと彼も……。
そう思って隣にいる彼をそっと見れば、彼は嫌悪が滲む表情で彼女を見ていた。
驚いて思わずまじまじと見てしまう。
「何?」
「いえ、嫌そうだなって」
「あ、ごめん。表に出てた?」
「うん」
はぁと彼は溜め息をついた。
「ああいう女性は苦手なんだ」
「そうなんだ」
「うん。僕にとっては君のほうが断然素敵だと思うよ」
「え、あ、ありがとう」
たぶん、比較対象が私しかいなかったからだ。
ただそれだけだ。
そこに深い意味はない。
彼にとって私はただの友人に過ぎないのだから。
必死に言い聞かせてどきまぎした心臓を落ち着かせる。
「僕はただ正直に思ったことを伝えただけ」
またどきまぎする。
私は必死に心臓を落ち着かせながら微笑みを浮かべる。
「でも嬉しかったから」
「そう。なら素直に受け取っておくね」
「うん」
「行こうか」
「うん」
立ち止まっていた私たちは再び歩き始めた。
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