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上品な淑女の花
顔を上げた私は思わず傍にいた彼に言った。
「上品な淑女って言うけど、淑女って基本的に上品じゃないの?」
「どうしたの、急に」
「あ、ごめん。小説の話」
「小説にそんな言葉が出てくるの?」
「出てきたの。だから驚いて思わず言っちゃった」
「そっか」
頷いてから彼は真剣な顔で腕を組む。
「でもさ、確かに下品な淑女はいないかもしれないけど、一般的な淑女はいるわけじゃない? だから殊更上品なことを強調したかったんじゃない?」
「あ、そっか」
そういうことか。
視野狭窄に陥っていた。
なるほどなるほどと頷きながら読書に戻っていく。
ふと集中力が切れて顔を上げれば、彼はベランダに出ていた。
知人から贈られたスパテフィラムの世話をしているようだ。
暑くないのだろうか?
まあ暑ければ中に入ってくるか。
あの鉢の世話だけなら熱中症になることもないだろう。
再び視線を本に落とす。
読書と彼と穏やかな時間。
私の好きなもの。
それだけで心が満たされる。
こんな穏やかな毎日が幸せだ。
読んでいただき、ありがとうございました。




