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小さな花の物語  作者: 燈華


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秘密のひとときの花

休日は隠れ家的なカフェで過ごす。

そこでは月に一度、いろいろな体験教室を開催していた。

そこに毎回参加していた。


ある日ひっそりとコルクボードに貼ってあるお知らせのチラシに気づいて参加してみたのがきっかけだった。

言ってみれば、その月に一度の体験教室にはまったのだ。


これは私の秘密のひととき。

家族も友人も誰も知らない。

月に一度の楽しみだ。






今日は月に一度の体験教室の日だ。

クレオメが咲いている横を通って店に入る。


「いらっしゃいませ」

「こんにちは」


すっかりマスターとは顔見知りだ。


「体験教室ですね」

「はい。飲み物はアイスカフェオレで」

「かしこまりました」


ワンドリンク制で、材料費込みの参加費とドリンク代を払えば誰でも参加可能だ。

私は代金を払って奥に向かう。

すでに何人か席についており、私は時々一緒になる男性に声をかけた。


「こんにちは。お隣いいですか?」

「あ、どうも。もちろんどうぞ」

「ありがとうございます」


男性の隣に座る。

何回か一緒になっているのですっかり顔馴染みだ。

何となくお互いにいれば隣か向かいに座るのが習慣になっていた。


彼はいつもブラックの珈琲を飲んでいる。どんな季節でも必ずホットだ。

それを知っているくらいには顔を合わせていた。


マスターがアイスカフェオレをそっと置いて離れていく。


「今日はカフェオレなんですね」


私はその日の気分によって飲み物を決めていた。


「はい。今日はカフェオレの気分で」

「そうでしたか。毎回貴女が何を頼むのか自分の中で予想を立てるのが楽しくなってきました。今日は外してしまいましたけどね」


まさかそんなことをされていたとは。

まあそれだけ顔を合わせているということだ。


「お気を悪くされましたか?」

「いいえ。それだけ顔を合わせているのだと思っただけです」

「そうなりますね。これからもよろしくお願いしますね」

「こちらこそよろしくお願いします」


二人で頭を下げ合いーー笑った。

これではまるで結婚の挨拶みたいだ。

そのことにお互いに気づいたのだ。


「まずはお友達からですね」


ぽつりと彼が呟いた言葉に動揺する。

それはどういう意味だろう?

友人になってほしいのか、それともーー?


「お待たせしました。始めましょう」


講師の方が来て聞く機会を逃してしまった。

くすりと微笑(わら)った彼がそっと耳打ちした。


「終わったらゆっくりと話しましょう」


それに私はただ頷いた。



読んでいただき、ありがとうございました。

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