↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小さな花の物語  作者: 燈華


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

228/244

謙譲の美の花

スマホを(いじ)っていた彼が顔を上げて、突然言った。


「『謙譲の美』ってさ、何か受け取る側の傲慢さというか、都合のいいようにっていう意図を感じる」


彼の眉間には皺が寄っていて本当に不快に思っていることが伝わってくる。


「どうしたの? 急に」

「いや、今日、モントブレチアを買ってきたから育て方を調べていたら花言葉が出てきてさ、それが『謙譲の美』だったんだ」

「うん、それで?」

「『謙譲の美』って何だよ、そんなに控えめなのが美徳なのか、って思っちゃってさ」

「ああ、まあわかるよ」

「本当に?」

「私だってそんなことを押しつけられたら嫌だもん」

「だよね」


彼は何度も頷いている。

余程不快に思っているようだ。

これは少し気を逸らしたほうがいいかもしれない。


「でもさそこまで深く考えてのことじゃないんじゃないの? 控えめなものの中にも美を見出(みい)だす日本人の心みたいなものなんじゃないかな?」

「言われるとそんな気もしてくる」

「でしょう。だから気にすることはないよ。ただの日本人の奥ゆかしさを表しているだけだって」

「そっか」


一応の納得を見せた。

よかった。これでどうにか気を逸らせた。

でないと延々と聞かされるところだった。


あとどうしても指摘しておきたいことがあった。

私もたいがいだと思う。


「それと謙譲って控えめって意味じゃないよ。一段自分を下げて相手を上げることだよ」


彼の眉根が再び寄る。


「それもなんか嫌なんだよね」

「まあそれだって気持ちの問題で媚びへつらうわけじゃないじゃない」

「それはそうなんだけど」


彼の口がちょっとだけへの字に曲がっている。

わかるけど納得できないようだ。

その姿がちょっと可愛いと思ってしまった私もたいがいだ。


屁理屈ばかり捏ねる彼と間違いがあれば訂正しないではおられない私。

周囲からちょっとだけ浮いている二人。

でもお互いに相手を否定することはなく、本音で語れる相手。


だからこそ私たちはお似合いなのだろう。



読んでいただき、ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。