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小さな花の物語  作者: 燈華


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婦人の美徳の花

二年間付き合っている彼と結婚する。


二人で住む新居の相談のために彼が部屋に来ていた。

今はそれぞれ手狭なワンルームに住んでおり、二人で住むには狭いのだ。


何気なく呟く。


「婦人の美徳ってどう思う?」

「なんかまた変なこと考えてない?」

「考えてないと思うけど」

「じゃあ急に何でそんなことを言い出したのか言ってみて」

「これ見て」


私が指差したのはテーブルの上に置かれた雑誌の一冊だ。

「特集 婦人の美徳」と表紙に書いてある。


「それ随分昔の婦人用雑誌でしょ」

「まあ、そうだけど」


それなりに面白いし、参考になるから読んでいた。

これは母が保管していて貸してくれたものだ。

その母も母の伯母に渡されたものらしいけど。


ぱらぱらと雑誌を捲ってみた彼が顔をしかめる。


「求めてないからね? 昔の婦人の美徳なんて」

「そう?」

「当然でしょ」


そうか当然なのか。

それではこの雑誌に書かれていることは何の参考にもならない。


でも、一つだけ。

私は買ってきてあった苗を指差す。


「これ、タンジーって言うんだけどね、防虫効果が高くてヨーロッパでは家に虫が入らないようにって窓の下に植えていたらしいよ。葉っぱは染料になるし、ドライフラワーにして装飾やポプリに使ったりするんだって」

「へー。じゃあこれはベランダに置いておくの?」

「そのつもり」

「うん、いいんじゃないかな」


彼の許可も取れたから、これは新居のベランダに置くことにする。それまでは私の部屋の窓際だ。


つんと彼の袖を引っ張る。


「どうしたの?」

「あのね、私もこんなふうに貴方の役に立ちたい」

「まあ無理をしない程度なら」

「うん」

「でも、絶対に無理はしないでね」

「わかった」


きっと私が無茶をすれば彼が止めてくれるだろう。

だから私は私のできることを頑張るだけだ。




読んでいただき、ありがとうございました。

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