美しい娘の花
パキスタキス・ルテアの前に特設ステージが作られている。
今日は某企業が企画したファッションショーが行われている。
大胆な南方の植物柄のワンショルダーのワンピースを着たモデルの女性がステージに現れた。
隣で彼が息を呑む音が聞こえた。
心が揺れたのだろう。
美しい娘だ。
彼が心惹かれても仕方ない。
ほぅっと思わず息が漏れてしまった。
それくらい美しい娘だった。
同性の私でも息を呑む美しさだ。目が自然と釘付けになる。
肩を抱き寄せられて我に返った。
彼がぐっと顔を寄せてくる。
「彼女に心奪われないでくれよ?」
ん?
心奪われる心配をするなら私ではなく彼のほうだろう。
「さっき切なそうに息を吐きながら見とれていただろう?」
「え……?」
「無意識か? なら余計にたちが悪い」
何を言っているのだろう?
「心を揺らされたのは貴方のほうでしょう?」
「俺がか?」
彼は怪訝そうな顔だ。
無意識だったのだろうか?
それなら彼が言う通りたちが悪い。
「息を呑む音がしてたわよ」
「だとしたらお前にだな」
「意味がわからないわ」
「彼女の姿に見とれるお前に見とれた」
「ちょっと意味がわからないわ」
「お前以上に美しい女はいない」
自分でも美人の類いに入るのは自覚している。
だけどさすがに言いすぎだ。
現に彼女は私以上に美しい。
「お前以外に俺の心を揺らす者はいない。だから、」
さらに顔を近づけ、耳元で囁かれた。
「嫉妬するのは構わないが、俺以外に心を揺らさないでくれよ?」
彼が離れる。
言葉の破壊力が過ぎた。
まともに彼の顔が見られない。
「ぜ、善処するわ……」
辛うじて言えたのはそれだけだった。
読んでいただき、ありがとうございました。




