完全の花
彼と並んで座りながらぽつりと漏らす。
「完全って難しいよね」
彼は腕を組んで考える。
だけどすぐに私を見た。
「二人一緒なら完全じゃない?」
「あ、そうかも」
一人では不完全でも不完全な二人が揃えば確かに完全かもしれない。
「でもその発想はなかったな」
「あ、そう?」
「うん。何か一人で完全じゃなきゃって思ってた、かも」
「そこに僕も入れておいて」
「わかった」
二人で完全なら彼を入れないという考えはない。
彼はほっとしたような表情を浮かべた後で素朴な疑問を呈してきた。
「そもそもさ、完全って何だろうね?」
「真ん丸な満月みたいなものじゃないの?」
「満月以外の月は完全じゃないの? だとしたら一瞬だよ?」
「まあ、確かに」
「そう考えると、逆に何だって完全かもしれないよ」
「逆に?」
それは大胆な発想の転換だ。
「きっとこれだって神様から見たら完全なんじゃない?」
テーブルの上に飾られているフラワーアレンジメントのユーコミスをつんつんとつついて彼は言った。
別名パイナップルリリー。小花がたくさん集まってまるでパイナップルのように見えるユニークな花だ。
「結局神様視点か」
「いやそれ以外に完全と評価できるものってなくない?」
「あー、そう、かな? そうかも」
「でしょう? 神様から見て全て完全でいいんじゃない?」
「うーん、まあ、それでもいいか」
「そうそう。まあ自分が完全だと思えるならそれはそれでいいと思うけど」
「適当だね」
「そうだね」
二人で吹き出すように微笑う。
「そろそろ行こうか?」
「そうだね」
今日はフラワーアレンジメントの展示会に来ていた。
ちょっと疲れたので少し休憩していただけだ。
"完全とは?"と話題にしたのは最後に見た作品のタイトルが「完全」だったためだ。
休憩時のちょっとした言葉遊びだ。
二人で立ち上がって会場へと戻っていった。
読んでいただき、ありがとうございました。




