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小さな花の物語  作者: 燈華


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あなたを愛しますの花

「あ、懐かしい写真」


結婚式で使う写真を探していたら懐かしい写真が出てきた。


幼い私と同じくらいの男の子が並んで写っている。


私は花冠を被っている。母が買ってきた花で作ってくれたのだ。

可愛いワンピースも着ている。

手にも小さなブーケを持っていた。


隣に立つ男の子は神妙な顔をしている。

蝶ネクタイを締めて一応の正装姿だ。


結婚式ごっこ。

せっかくおめかししたから、と、今思えば親たちものりのりだったのかもしれない。


後ろに写っている鉢の中に咲いているのはエキザカムの花だ。

たくさんの花がこんもりと咲いていて香りがよく昔から母が気に入って育てていた。

だからこれは私の家の庭だ。

今も変わらずエキザカムは育てられている。


思わず手を止めてにこにこと写真を眺めていると、


「何見てるの?」


彼が後ろから顔を出す。


「見て。これ懐かしくない?」


彼が写真を覗き込む。


「うわ、残ってたんだ」

「うん、ばっちり」


彼が片手で顔を覆う。

恥ずかしいようだ。

私にとってはただ懐かしいだけなのに。


「まさかあの時のごっこ遊びが本当になるとは」

「本当だよね」


私の隣に写っているのは彼だ。

そして、彼と結婚する。

写真の中でやっているごっこ遊びが現実になったのだ。


「この写真使う?」


訊けば彼は手を下ろした。


「うーん、どうしよう?」


使ってもいいとは思うけど。

だってエピソードとしては素敵だ。

ただ彼の気持ちを無視するわけにはいかない。


「じゃあ保留にしておこうか」

「そうだね」


使う写真を選んでバランスをみてからでも遅くはない。

ふと思いつき、とんと写真を指差し、訊いてみる。


「この時、何を誓ったか覚えてる?」

「え、何だったかな?」


本当に覚えてないのか、それとも空惚(そらとぼ)けているのか。


「覚えてる?」


逆に問い返されて頷く。


「もちろん」

「え、何?」


これは本当に忘れているのかもしれない。

私は彼の顔をのぞき込みながら微笑んで告げた。


「"あなたを愛します"」




読んでいただき、ありがとうございました。

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