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小さな花の物語  作者: 燈華


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大胆の花

今日は彼と出掛ける約束をしている。

髪には彼から贈られた河原撫子の花をモチーフにした髪飾り。

彼は気づいてくれるだろうか?


彼を見つけた。

(はや)る気持ちのまま駆け出した。


早く伝えたい。

悩んでいたけど悩むことではなかった。

ただ自分の心に向き合えばすぐに答えは出たのだ。

私がただごちゃごちゃ考えていただけ。

答えはいつだって心の中にあった。


駆け寄ってそのまま抱きつく。


「うわぁっ!」


彼の身体が揺れたけど転ぶようなことはなかった。

彼はふぅと安堵の息をついている。


「危ないでしょ」

「大好き!」


沸き上がる気持ちのまま叫ぶ。

数瞬の沈黙。

頭上でかつてないほど深い溜め息が吐かれた。

おずおずと顔を上げた。


「本当にたまにとんでもなく大胆なことをするよね」

「え?」


目を瞬かせる。

私、そんな大胆なことをした覚えはない。


彼の目が周囲を見回す。

それから私の目を真っ直ぐに見下ろす。


「それが僕の告白の答えってことでいいかな?」

「もちろん」

「よかった。僕も大好きだよ。これからもよろしくね」

「うん!」


わぁーっと周囲から拍手が沸き起こった。


「え? え?」


思わず周囲を見回す。

いつの間にか周囲を人に囲まれていた。


「こんな人の往来の多いところで告白すれば注目されるに決まってる」

「あ、そうだよね」


じわじわと恥ずかしさがこみ上げてくる。

でも彼の胸に顔を伏せて逃げるわけにはいかない。

これは私がしたことだ。

とりあえず周りにぺこぺこと頭を下げる。


スマホを向けている人がいることは、とりあえず、無視しよう。

どのみちもう遅い。

せめて良識があることを祈っておこう。


彼も周りに頭を下げて私を見た。


「行こうか」

「うん」


「お幸せにー」などの声援を受けながら私たちはその場を足早に後にしたーーしっかりと手を繋いで。



読んでいただき、ありがとうございました。

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