戦いの花
少し離れたところに男連れの女がいた。
何だろう?
同族の匂いがする。
目が合った。
女が唇の端を吊り上げて微笑む。
挑発的な笑みだ。
私も唇の端を吊り上げるようにして笑う。
そして腕まくりする。
「待て待て待て。何する気だ?」
慌てて彼に止められる。
「売られた喧嘩を買うのよ」
「やめろ」
「これは女の戦いなのよ!」
「いや戦わなくていいから」
冷静に窘められたところで引き下がれない。
「女にはね、負けられない戦いがあるの!」
何故か溜め息をつかれる。
「何よ?」
「ほら、鋸草を買いに行くんだろう? 行くぞ」
「鋸草は逃げないよ!」
「いやなくなるかもしれないだろ」
腕を掴まれ強引にその場から離れさせられる。
鞄につけた鋸草を模したチャームがその動きに合わせて激しく揺れる。
引っ張られながら女を見れば、女も連れの男に何やら窘められている。
女と目が合う。
お互い言いたいことは同じだ。
ーー引き分けよっ!
二人で力強く頷いた。
彼と向こうの男は同時に溜め息をついていた。
溜め息をつかれる心当たりなどなかった。
「ほら、他人より俺との時間を大切にしてくれ」
「うん、そうね」
確かに彼の言う通りだった。
腕を離してもらって、彼の腕に腕を絡めた。
「行きましょう!」
もう女のことはどうでもよかった。
意気揚々と目的地へと向かっていった。
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