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小さな花の物語  作者: 燈華


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夢と童心の花

幼い頃は無敵だったな、と今になって思う。


何も知らなかったあの頃。

どんな荒唐無稽な夢だって持てた。

叶わないはずがないと思っていた。

無邪気にそれを口に出したりもして。


今ではとても考えられない。

夢を持つことすら躊躇われるのに。


あの頃はお化け以外怖いものなど何もなかった。

あの頃の万能感なんて感覚としてさえ覚えていない。

あの万能感はどうやって持てていたのだろう? とさえ思う。

きっと何も知らなかったからこそ無邪気に信じていられたのだろう。


それを童心というのだろうか?

だとしても今さら童心に帰るなんて無理だ。

あの頃に戻りたいとも思わない。

ただ、あの頃の無敵さは、正直羨ましい。


今の私もあの頃の無敵さの欠片でもあれば、と思ってしまう。

はぁと溜め息をつく。


下に落ちている花がらに何となく上を向いた。

背の高い木が庭先からのぞいている。

その木には濃い赤色の花がまとまって咲いていた。


アメリカ梯姑(でいご)の花だ。

何故知っているかといえば母方の祖父母が沖縄にいるからだ。

沖縄の県花なんだそうなのだ。

沖縄の真夏の太陽の下でこそ映えるだろう。


どんなものにもそれに相応しい場というものがある。

それは人間も同じだろう。

私は私に相応しい場が、彼は彼に相応しい場が。

それだけだ。


だけど、そう考えるだけで心が重くなる。

それが、本心なのだろう。

つまり、一緒にいたい。


彼から別れを望まれているわけではない。

ただ、周りが、うるさい。

私自身も彼の居場所は私の隣ではないような気がしてしまっている。


弱気な自分が悪いのだ。

だから、幼い頃の無敵さを眩しい気持ちで思い出しているのだろう。


アメリカ梯姑の花から視線を逸らし、再び歩き出した。


読んでいただき、ありがとうございました。

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