↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小さな花の物語  作者: 燈華


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

198/247

個性美の花

「あー、もう全然うまくいかない!」


思わず叫んでしまった。


「どうしたの?」


彼が声に驚いたのか顔を出す。


「あ、ごめん」

「別にいいけど。どうしたの?」

「全然うまくできなくて」


どれどれというように彼が作業台の上を覗き込む。


作業台の上には今まで作業をしていた木彫りの人形がある。

木彫りのうさぎが桧扇(ひおうぎ)の花を持っているものだ。


だけどどうもうさぎも桧扇の花も(いびつ)に歪んでいる。

手を加えれば加えるほど歪んでいくように見える。

でもあまり手を加えすぎると今度は取り返しのつかないことになる。

木彫りというのはやり直しがきかないのだ。


じっと見ている彼に言う。


「歪んでるでしょ?」

「それもまあ、個性じゃない?」

「うーん?」


その言葉にはもやもやする。

それに彼はすぐに気づいたようだ。


「気に入らない?」

「何でもかんでも個性とか個性美とか言われるのはちょっとな」

「そっか」


彼は再び木彫りに視線を戻した。


「でも僕はけっこう好きかも。気に入らなくて廃棄するならくれない?」

「まあ別にいいけど」

「ありがとう」

「じゃあ仕上げたら持っていくね」

「うん、楽しみにしてる。じゃあ頑張って」

「うん、ありがとう」


軽く手を振って彼は部屋を出ていった。


私は再び木彫りのうさぎに向き合った。

そう言われたのならこれ以上手を加えないほうがいいだろう。


彫刻刀の代わりにやすりを手に取る。

そして仕上げの作業に取りかかった。



読んでいただき、ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。