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小さな花の物語  作者: 燈華


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7/14 やまゆり(山百合)「荘厳」

山百合の咲く山道を上っていくと、急に荘厳な門に囲まれた屋敷が目の前に現れた。

門の前に立つと、ゆっくりと門が開いていく。


「お待ち申し上げておりました」


執事服とでも言うような服装をした壮年の男性が腰を折って出迎えた。


「本日はよろしくお願いします」

「ご丁寧にありがとうございます。それと、不便をお掛けして申し訳ありません」

「いえ、大丈夫です」


駐車場は坂の下で、そこから五十メートルほど細い山道を上ってきたのだ。


「何人かの方はすでにお越しでいらっしゃいます」

「ありがとうございます」


お礼を言って中に入る。

館のほうに進めば、入り口のところに友人が立っていた。

軽く挨拶を交わす。

近況を話すのは後でゆっくりできる。


「着替えるよね?」

「うん。さすがにパーティー用のドレスを着て運転とかこの山道登ってくるのは無理だよ」

「だよね。こっちで着替えられるから」

「うん、ありがとう」


友人に案内された部屋で着替える。

荷物はその部屋にあるロッカーに入れておけばいいと言われたのでスマホなどの最低限の物だけパーティーバッグに入れて他の荷物はロッカーに入れた。

鍵をかけ、その鍵はバッグにしっかりとしまう。


ここはパーティーなどに貸し出される迎賓館だ。

今日は外国に行っていた大学時代の同級生が帰ってきたのでお帰りなさいパーティーをしようとここに集まったのだ。


さて準備を手伝おうと先程の友人のところに戻ると庭のほうに行ってと言われた。

そっちからと言われて大人しく指示に従う。


進んでいくと庭の隅に男性の後ろ姿が見えた。

後ろ姿でも誰かわかる。


ずっと会いたかった彼だ。


彼は外国に行っていた。

何年も行っていて、一度も帰国しなかった。

私も会いには行かなかった。


今日は彼の帰国を祝うパーティーなのだ。


彼が振り向く。

そして私を見つけて微笑んだ。


「ただいま」

「お帰り。待ってたよ」

「うん」


彼が腕を広げる。

私は駆け寄ってその腕の中に飛び込んだ。


読んでいただき、ありがとうございました。

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