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小さな花の物語  作者: 燈華


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気高さの花

小さな劇団で俳優をしている私に舞台に出ないかとの声がかかった。

正直何故私に? と思わないでもなかったが、チャンスだった。


もらったのは凛とした気高さと可憐さを併せ持った役。

矛盾するようなその役をどう演じたらいいのか?

完全に袋小路に嵌まっていた。


ぽっかりと空いた時間に私は散歩に出ていた。

ただひたすら歩き回る。

そうやって頭を空っぽにしようとしていた。

一度頭の中をリセットしたかったのだ。


黙々と歩き続け、生垣(いけがき)にぶつかり足を止めた。


「あっ」


行き止まりだった。

右にも左にも道はない袋小路だ。

現実でもまさか袋小路に当たるとは。


がくりと落ち込んで、視界に黄色が映り込んで顔を上げた。

低木に黄色い花が咲いている。


可愛い花だ。

何の花だろう?


スマホで画像検索をかけてみると未容柳(びようやなぎ)と出てきた。

中国原産らしい。


へぇーと思いながらもう一度花を見る。

やっぱり可愛い。

じっと見る。

どこか気品も感じられるようにも思える。


ーーっ!

何か掴めた気がした。

早くそれでやってみたい。

もっとはっきりと輪郭を捉えたい。


(はや)る気持ちを抑えてそっと一枚だけ写真を撮る。

お守りのようなものだ。

その写真を待ち受けにしてスマホを仕舞う。


(きびす)を返した。

先程までとは違い、迷いない足取りで歩いていく。


読んでいただき、ありがとうございました。

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