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小さな花の物語  作者: 燈華


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聖なる愛の花

聖なる愛というのは神の愛だろうか?

それとも神に捧げる愛だろうか?


絵画の前でそのタイトルを見て考え込む。

描かれているのは祈りを捧げる女性とそれを高い窓越しに見ている天使だ。


画面の端に描かれている花は、時計草かな?

キリストの受難を表す花、だったっけ?


そこまではきちんと覚えていなかった。

うーん? と記憶から何とか絞り出そうと試みてみる。

だけどどうにもならなかった。


まあいいや。

思い出せないのなら仕方ない。

あとで調べればいいだけの話だ。


「その絵が気になるの?」


後ろから話しかけられて振り向く。

別の絵を見ていたはずの彼が後ろに立っていた。


「絵というよりタイトルが気になる」


彼が前に出て絵のタイトルを見る。


「『聖なる愛』」

「そう。聖なる愛って神の愛なのか、神への愛なのか、それとも別のものなのか、って」

「あー、普通に考えれば神の愛じゃない?」

「だよね。だったらこの絵はこの女性への神の愛、ということかな?」

「神の愛を賜れるように、とか?」

「あー、なるほど。試練の真っ只中かもしれないしね」

「何で?」


私は時計草を指差した。


「これ、時計草だと思うの」

「あー、受難の花、だっけ?」


彼も自信はないらしい。


「たぶん」


二人で顔を見合わせる。


「まあ、いいんじゃない? そういう解釈で」

「そうだね」


きっと絵の解釈は自由だ。

後で調べれば作者の意図はわかるだろう。

調べるかどうかは、わからないけど。


「次に行こう?」

「うん」


私たちはその絵の前を離れた。



読んでいただき、ありがとうございました。

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