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小さな花の物語  作者: 燈華


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美しい精神の花

私の恋人は誰に聞いても"いい人"だ。

自分のことは後回しにしてまで他人のために奔走する。


そのこと自体は美しい精神だと思う。

だけど、その陰で我慢させられている者もいる。

そのことに無自覚だ。

周囲も気づいていない。


いつだって日の当たるところにばかり目が行き、陰には目がいかないものだ。


その陰にいるのが私だ。

彼は私のことはいつでも後回しだ。


だけど善行に対する不満というのは口に出しにくい。

下手したらこちらが悪者にされてしまう。

口をつぐむしかなかった。


だけど(ないがし)ろにされるたびに思う。

彼にとって私は粗雑に扱ってもいい存在なのかと。

大切にしたい相手ではないのか、と。


たぶん、彼は私がそんなふうに思っていることすら気づいていないだろう。

いや、私のことなどもう何も見ていないのではないだろうか。

彼にとって最早(もはや)私の存在など気にかける必要のないものなのだ。

それが身内だからという認識から来るものだとしても、嬉しくない。


彼が褒められるたびに私はもやもやとする。

そんな自分が心の狭い人間なのではないかと思えてきてしまう。

間違っているのは自分のほうではないか、と。


離れたほうがいいのはわかっている。

そうでなければどんどん自己肯定感が下がっていってしまうだろう。


私を蔑ろにし続ける彼との付き合いは自尊心と心を削り続けている。

それなのにーー


ベランダに置かれたクレマチスの鉢が目に入る。

彼がお礼にもらったものを私にくれたのだ。


一応支柱も立てていたのに、何故か柵のほうに巻きついている。

そんなに柵のほうがよかったのだろうか?


そのクレマチスに巻きつかれた柵のように、私も彼に雁字搦(がんじがら)めに捕らわれている錯覚を覚える。


クレマチスといえば墓場によく植えられた花だっただろうか?

そんなことを聞いた記憶がある。

何て皮肉で、ぴったりの花だろう。



読んでいただき、ありがとうございました。

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