品格の花
小手鞠の綺麗に咲く庭にはテーブルが並べられ、着飾った男女が飲み物片手に談笑している。
彼は少し眉根を寄せて告げた。
「品格っていうのはその振る舞いに表れると思うんだよね」
「そうね」
その通りだと思うから同意する。
言う人も言われる人も両方がそれを見られている。
それを彼はわかっている。
わかっていてなお彼は告げた。
「あれはないかな」
彼の視線の先には男女数人のグループがいる。
粗野な仕草で料理を食べ、流し込むようにワインを呑んでいる。
大声でのお喋り。内容も下品だ。
さらにげらげらと笑う声がここまで聞こえる。
思わず眉が寄りそうになったけど堪える。
「そうだね。そう思う」
ここはガーデンパーティーの場だ。
その場に相応しい態度を取るのは招待された者として当然の礼節だ。
それがわかっていない。
「主催者はお気の毒だね」
「本当ね」
せっかくの婚約を発表する場だ。
そんな晴れの場を無粋な客に台無しにされてしまったのは本当にお気の毒だ。
「僕たちの時はあんな無礼な客は招待しないようにするから」
「ええ。……え?」
「ごめん。先走った。今度きちんとプロポーズするから受けてくれる?」
傍にある彼の顔を見上げれば、微笑んでいるけどその瞳は不安に揺れていた。
私はゆっくりと微笑む。
「ええ、もちろん。楽しみにしているね」
「うん」
そっと握られた手を、私もそっと握り返した。
読んでいただき、ありがとうございました。




