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小さな花の物語  作者: 燈華


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思い出の花

彼との思い出の中にはいつもローズマリーがある。

知り合うきっかけもローズマリーだった。


あの時はローズマリーの匂いがきついくらいに漂っていた。

彼が庭のローズマリーの枝を無造作に伐っていた。

特に思い入れはない様子でばさばさと伐っていた。


その遠慮のなさに思わず声をかけていた。

そして知り合いになった。

その時にもらったローズマリーはリース状にまとめて部屋に飾っていた。


告白もローズマリーの前だった。

プロポーズの時に差し出された指輪はローズマリーを模していた。


結婚式ではもちろんローズマリーを各テーブルに飾っていた。

私たちの軌跡を話したらウェディングプランナーの方が提案してくれたのだ。

念願の新居の庭にもローズマリーを植えた。


二人の間の重要な事柄には(ことごと)くローズマリーが姿を見せている。


今リビングのテーブルの上にはローズマリーを束ねたリースが置かれている。

これは、どういう意味を持っているのだろう?


「どうしたの?」


夫に背後から声をかけられる。いつも通りの声。 

「いえ、このローズマリーはどうしたのかしら? と思って」

「あー、それ? ちょっとローズマリーを刈ったから作ってみた。前にあげたローズマリーをリースにしたって言ってたでしょ? どう、気に入ってくれた?」


どっと力が抜ける。

密かに離婚を切り出されるかと思っていた。

次なる転換期となるのは離婚しかないのではと考えていたから。


私は振り向いた。

いつもと何ら変わらない様子の夫がいた。


「急に置いてあるから何かなって思っちゃった」

「そうなの? 驚かしちゃってごめんね」

「ううん、いいの。せっかくだから飾りましょうか」

「うん」


彼は嬉しそうに微笑(わら)う。


ローズマリーを見て動揺したのは離婚を切り出されるのではないかと恐れたから。

それは離婚など絶対にしたくないと思ったからに他ならない。

そのことに気づいた。


これからも毎日毎日を大切に重ねていこう。


そう思えたから、やはりローズマリーは私たちの重大な事柄の時に現れるもので間違いない。


読んでいただき、ありがとうございました。

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