純粋な愛情の花
複数人の子どもたちが楽しそうに遊んでいる。
彼は目を細めてそのうちの一人の女の子を見ている。
そこにあるのは純粋な愛情だった。
女の子は彼の妹だ。
彼は歳の離れた妹を可愛がっている。
それが十分に伝わってくる眼差しだった。
「今日はごめんね。急に妹も一緒になっちゃって」
「ううん、大丈夫。むしろ妹さんは私と一緒でよかったのかな?」
「喜んでいたよ」
本当だったら嬉しいけど。
大好きなお兄ちゃんとのお出掛けに見知らぬ女の人がいたらやっぱ嫌なものなのではないだろうか?
そんなことはどうしても考えてしまう。
「そう、ならよかった」
「前からお姉ちゃんがほしいって言っててね。だからずっとはしゃいでいる」
「そう」
楽しそうに見えていたのは大好きなお兄ちゃんと一緒だから、というだけではなかったということだろうか?
本当だったら嬉しい。
「おにいちゃーん! おねえちゃーん!」
呼ばれたので二人で手を振る。
手を振り返した女の子がこちらに走ってくる。
女の子は何故か私の前で止まった。
てっきり彼に抱きつくと思ったのだけど。
「おねえちゃん、これあげる!」
彼女の手にあるのは美女撫子の花。
「ありがとう」
まずは笑顔で受け取る。
「でも、このお花、どうしたの?」
まさか花壇から取ってきてしまったのだろうか?
不安になる。
もしそうなら兄である彼に注意してもらわなければ。
女の子が体を振り向けて指差す。
「あそこのはなはうえかえるからとっていいっておじちゃんがいってたの」
見れば何人かの子どもたちが花壇で花を摘んでいるようだ。
「そうなのね。とても綺麗ね。本当にありがとう」
へへと女の子が微笑う。
得意そうでもあり、嬉しそうでもある。
「もうちょっとあそんできてもいい?」
「うん、いいよ」
ぱっと女の子が駆けていく。
「ごめん、もう少し付き合ってもらってもいい?」
「もちろん。でもちょっと離れるね。せっかくもらった花を萎れさせちゃうのもやだから」
「あ、うん。ありがとう」
「どういたしまして。じゃあちょっと行ってくる」
私はその場を離れた。
もらった花に目をやる。
わざわざ駆け寄ってきて贈ってくれた花。
思わず笑みがこぼれた。
まるで認めてくれたようで嬉しかった。
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