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小さな花の物語  作者: 燈華


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悲しい別れの花

別れというものはどんなものでも悲しい。

それなのに、突然の別れで二度と会えなくなったとしたらどれだけ悲しいことか。


本当に突然のことだった。

朝私が出掛ける時には元気だった。

それなのに出先で連絡を受けて病院に駆けつけたら亡くなったと告げられた。


頭が真っ白になった。

息をしていない彼を前にしても信じられなかった。


それからは慌ただしく葬儀の準備をした。

だけどそれは表面上のことだ。

ずっとふわふわと夢の中を漂っているような気持ちで過ごしていた。


そして今日、火葬場で彼が焼かれる。

葬儀場に泊まるのは彼の弟が引き受けてくれた。

私の様子を見て危ないと思ったのかもしれない。


私は支度を済ませ、そろそろ家を出ようかというところだ。

出る前に彼が世話をしていた庭に水を撒こうと思い立つ。

あの日から、何も世話をしていなかったことに気づいたのだ。


ホースを手に庭に向き直った途端、彼の不在が唐突に胸に迫ってきた。


(たま)らずしゃがみ込んだ。

叫び出したいような、泣き出したいような衝動に駆られるが、喉が塞がれ、どちらもできない。


口許を押さえてぎゅっと目を閉じる。

今崩れてしまえば立ち上がれない。


その衝動を必死に抑え込む。

だってこれから葬儀なのだ。

ここで崩れるわけにはいかない。


帰ってきてから思いっきり泣こう。

動けないくらいに。


そう自分を何とか鼓舞しようとする。

それでも、しばらくの間、そのまま動けなかった。


悲しい別れを告げるように花韮(はなにら)の花が庭の片隅で揺れていた。


読んでいただき、ありがとうございました。

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