表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小さな花の物語  作者: 燈華


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

102/130

使命と伝令の花

「あ、はい。近くにいるのでいいですよ」


彼が上司からの電話を受けているのを少し離れたところで待っていた。

ただ、話の雲行きは怪しい。


今日は休日だ。

そして今はデート中だ。

それなのに、彼はどうやら引き受けるつもりのようだ。


相手の声は聞こえないが、彼の声は聞こえる。

彼の態度からもそれが伝わってくる。


どうして……

思いかけて、思考を止める。

考えても仕方ない。


通話を終えた彼が軽く駆け寄ってくる。

彼は眉を下げてわたしに告げた。


「ごめん。ちょっと行ってくる。待ってて」


もう彼の中では決定事項のようだ。

自分の使命だと言うように伝令のために走っていく。


わたしはそれを黙って見送るしかなかった。

その背が見えなくなるまでじっと見ていた。

彼は一度も振り返らなかった。


誰かの命がかかっているとか、緊急性の高いものならまあわかる。

でもそうでないようなのに。

スマホを忘れた同僚に連絡事項を伝えるだけらしい。


それは彼が行かなければいけないことなのだろうか?

他の人では駄目なのだろうか?


急ぎでないなら出勤している者が伝えに行けばいいのに。

そんなふうに考えてしまうわたしは心が狭いのだろうか?


だけど、今日は彼はれっきとした休みなのだ。

わざわざ休みの彼を遣いっ走りにしなくても、とどうしても思ってしまう。


はぁと溜め息をついた。

思ったより重かった。


仕方ないと思う。

まさかデートを邪魔されるとは思っていなかったのだから。


それに、彼をいいように使われるのも。

何だかもやもやする。


とりあえず、どこかで彼を待たなくてはならない。

歩き出す。


近くでダッチアイリスの花が揺れていた。


読んでいただき、ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ