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20 勇者の価値 龍の価値

 なんか人間どもの自己紹介が始まってる……

 俺は名前なんて覚える気が無い。 関わりたくないからね。

 取り敢えず、王様、宰相、騎士団長、筆頭侍女、勇者、聖女、魔法使い、女騎士だけ覚えた。


「それじゃーソイツが俺達を育ててくれグホゥ!」


 瞬時に人化したハンゾウにぶっ飛ばされる勇者。


「「「カイン!」」」


 勇者に駆け寄る取り巻きの女達。


「全く言葉の使い方を知らない餓鬼でござるな……」


 ハンゾウは思いっきり殴ったようで、普通なら肉片すら残らないだろう……

 でも俺が張った結界は外したが、意識そのまま死なない陣はそのままにしてあるので死にはしない……

 トラウマが残りそうではあるが……


「…… 話が…… 途切れる…… 面倒……」


 ポポムさんが勇者に回復魔法を掛ける。

 頬を抑え、恐怖の眼差しでハンゾウを見る勇者……


「俺がお前等なんか育てる訳ないだろ。馬鹿も休み休み言え」


「な!? カトルズ様が正義の為にと言ってたではありませんか!?」


 聖女が反論する。

 ハンゾウとポポムさんが動きだそうとするのを手で制し、


「それ以前の問題だ。 いきなり剣を向けてきた相手になんで施そうと思える?」


「それは! 貴方様が神だとは知らなくて!」


「知らなければ無罪なのか? 施しを受けられるのか?」


「でも貴方様は傷1つ負ってないではありませんか!」


「其処に王が居るだろ? 王を知らない平民が王を襲ってきたら無罪なのか? 知らなかったんです! 未遂だし、怪我も無かったでしょう? で通るのか?」


「そ…… それは……」


「カトルズの意志は尊重したいとは思うが、お前等を育てるなんて真っ平御免だ。 お前等相手にするなら其処等の犬猫を育てた方がマシだよ」


「「「「……………………」」」」


 完全なる拒絶に言葉も無い勇者達。


 と、その時。


「ユルングであります。 招集により、参りました」


 部屋の入口には綺麗な起立をした人化してるユルングが。

 どうやらポポムさんが呼んだらしい。


「ユルング…… 此方に……」


「ハ!」


 俺達の傍に来たユルングは立膝を着き、頭を下げる。


「此処で有った出来事…… 見せましょう……」


 ユルングの頭にポポムさんが手を翳す。

 そして光だす手。

 ユルングの脳裏には此処で有った出来事が流されているのだろう…… 


 ポポムさんの手の光が収まる。

 其処には唇を噛みしめ、静かに涙するユルングの姿が……


「何故…… 何故私に相談もしてくれなかったのでしょう……」


「それは…… 分かりません…… 貴方を巻き込みたくなかった……かも……」


 ユルングは人目も憚らず号泣した……




「みっともない姿を晒し、申し訳ありませぬ……」


「いあ、なんも問題ないよ」


「うん…… では…… これからが…… 本題……」


 立ち上がったポポムさんは、ユルングの前に立ち、杖を翳して宣言する。


「ドラゴンの森のユルングに、此処に命ずる!其方に聖龍の地位を授ける!世界の安寧の為、その力を奮う事を願う!」


「謹んでお受け致します」


 光輝く杖。 その光がユルングの額に照射される。

 ユルングの額に謎の文様が浮かび上がる。

 ゆっくりと点滅する文様。 そして杖の光と共に静かに消えた……


「これで終了です。 カトルズの意志を継ぎ、邁進しなさい」


「ハハ!」


 頭を下げるユルング。

 そして倒れこむように椅子に座るポポムさん。


「大丈夫か?」


「…… 今日1日で…… 10年分くらい…… 話した…… もう…… ゴールして…… いい?」


「ゴールしちゃ駄目だから!頑張ったね。えらいえらい」


 取り敢えずポポムさんの頭を撫でといた……




「聖龍になっても見かけは変わらないの?」


「多分…… 龍化すれば……」


「ほー ちょっと見てみたいでござるな」


「きっと…… 鱗がルビーみたく…… キラキラ…… 楽しみ」


「いやいや! ちょっと恥ずかしいんですが!」


「諦めろ。 んじゃ外行こうぜ」


 皆で席を立ち、外へ。

 なんか人間達も着いて来るんだが…… もう用無いから帰っていいんだぞ。




「では、参ります」


 クレーター横のそこそこ広い場所で、龍化するユルング。

 その姿は光輝く赤。そしてデカくなっていた。


「ん…… 凄くキレイ…… うっとり……」


「強さと神聖さが滲み出てるかんでござるな」


「うん。 いいじゃんいいじゃん」


 絶賛の嵐。人間共はその姿を見て茫然とするばかり……


「いやいや、恥ずかしいんですが…… しかも大きさとか力が変わったせいで加減が……」


 そう言ってすぐ人化してしまった。

 ポポムさんからのブーイングが激しい…頑張れユルング。


「そういえば、ハチマン様、この前の黒龍はどうなさいました?」


「ああ、持ってるよ」


「ちょっと確認したいので、出して頂いてもよろしいですか?」


「はいはいー よいしょっと!」


 其処に出された黒龍は40mほどで、外傷は無いものの、顎は砕け、足は変な方向に曲がり、首は潰れていた。


「ああーやはり南の森に居ついていた邪竜の残党の1匹ですね」


「あ、あの…… 外傷が無いようですが…… どうやって?」


 なんか騎士団長が話しかけてきた。

 直答が許される立場だと思ってるんだろうか。 まぁいいけど。


「顎殴って足払って首にチョップしただけだよ」


 人間共は驚愕し、ポポムさんとユルングは呆れ顔……

 ええー! なんで? ポポムさんだって出来るでしょ?


「素手で…… 3発は…… ない…… ハチマン様は…… 非常識」


 俺の心にクリティカル……

 ハンゾウが優しく肩を叩いてくれた……


「あのー、この龍は何かに使われるので?」


 宰相と呼ばれる男が話しかけてくる。


「いや、俺には何の価値もないな」


「そ、それではわたくし達めに下賜して頂ければと」


「ちょっと待て。 ポポムさん。ドラゴンって人間界で価値あるの?」


「ん…… 素材として…… 武器防具なんでも…… 1匹なら…… 小国の国家予算」 


 はぁ?そんなのをクレっての?厚かましすぎるだろ?

 宰相を見ると悔しそうな顔。王よ、お前もか!


「んじゃ売ってやるよ。 っても値段わかんねーしなぁ……」


 王と宰相の目が光る。コイツ等顔に出すぎだろ……


「もう1人呼ぶか。 値段くらい分かるだろ?ギルド長なら」


「冒険者ギルド長ですね。 魔物素材なら冒険者ギルドですもの」


 聖女が何か言ってる。


「阿保か。 誰が冒険者ギルドなんかに売るか。 商人ギルドだよ! 其処の侍女。 商人ギルド行ってギルド長連れてこい」


「は、はひぃぃぃ!」


 指名を受けるとは思ってなかったのか、侍女はしどろもどろに返事をし、神殿に向かって駆けて行った。


「もう気が付いてるだろ? 3日前にギルドで誰を追い出したかを……」


 勇者達は何も言い返せなかった……




 そして侍女と共にやって来た商人ギルド長のエルフ。

 名前はマリアさんというらしい。 世話になりそうなので覚えておこう。

 ポポムさんを見た瞬間土下座。 そして俺達の事を説明され土下座。

 呪詛の事も説明されるが喜々として受け入れる。


「受け入れた方がいいと商人の感が囁くのよ!」


 左様でございますか……


「ふえー。 流石に丸々1匹だと迫力あるねぇー」


 サラサラと慣れた手つきで、見ては書き込み、計っては書き込み。

 その様子を苦々しく見ている王と宰相。 お前等の思い通りにはさせんよ。

 約1時間かけて査定は終わった。


「えーと私が出した査定額は、角牙爪皮鱗これらは武器や防具、アクセなんかの装備素材だね。これら全部で金貨2億8千万枚って所かな。 骨が砕けてるのがあるから2千万枚のマイナス査定かな。 肉血内蔵眼球などは高級食材や薬になります。 こっちが全部で金貨1億7千万枚って所。総額金貨4億5千万枚でございます」


 うーん。いまいち高いのか安いのかわからんけど……


「買う?」


 青い顔した王と宰相に話しかける。


「予算的に変えるのは半分かと…… あのーおまけとかは……?」


「無いね」


 がっくしする宰相。


「じゃあ後の半分は商人ギルドで買い取ろう。 もしくは全部でもいいんだよ?」


 ギルド長マリアはニヤリと宰相を見る。

 流石商人ギルド。 金持ってるねー。


「か、買いますー!」


 タダで貰おうなんて考えるからしっぺ返し喰らうんだ。ざまぁ。




「勇者達も王族もダメダメにゃ……… でもお爺ちゃん龍が少し可哀そうにゃ…」


「そうだな…… でも神界では自由らしいから、気楽に余生を過ごしてほしいもんだ……」


お読みいただきありがとうございました。



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