表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/28

19 聖龍の退場

 重苦しい空気が漂う……

 

「なぁお嬢さん。 俺を酷いと非難する前に、なんで仲間?を止めなかったんだ? 確かに行き成り現れた怪しいヤツなんだろうけど、それでも名乗って両手を上げてる相手に剣を抜いて襲い掛かる。 何方が酷いんだろうかね?」


 下を向いてプルプルしてる白い服の女。

 それは恐怖からなのか、漏らしてしまった羞恥からなのか、はたまた怒りからなのか……


 それを見ていた、恐怖で固まっていたカトルズが再起動した。


「せ、聖女ミーティア! ふ、不敬であるぞ!知らなかったとは言え異世界の神であるハチマン様とハンゾウさ「待て!」ま……」


 威圧を込めてカトルズの話を止める。

 そして今にも飛び掛かりそうなハンゾウを止める言葉でもあった。


「カトルズ…… お前何故俺達の素性を此処で話した? 話さないという約束をしたはずだが…… 違ったか?」


「あ…… ああ…… あの最近年のせいか物忘れが酷く…… 記憶に無…… い……」


 ここでボケジジイの設定使うか!


「ほう。まだ6日しか経ってない事を忘れたか…… じゃ、何故名前を知っている?」


「そ…… それは……」


 沈黙するカトルズ。

 そして人間達は皆驚愕の顔をしていた。


「「「「「異世界の…… 神……」」」」」


 ちっ。面倒な事になりそうだ……


「な…… 名前はユルングに聞い「それは嘘だな」……」


「ユルングはお前から、来てほしいと連絡受けた時以外、会ってもいないし話もしてないと聞いている」


「わ、儂は正義の為にハチマン様にご助力願おうと! 遅々として進まぬ勇者の強化をお願いしようと! 何卒! 何卒正義の為に! この世界の為に! 何卒! なにとぞー!」


 床に頭を着け、懇願するカトルズ。

 その姿を見て、急速に頭が冷めてゆく。


「何故事前に相談なりしなかった? 簡単に喋りやがって…… 神との約束ってのはそんなに軽い物なのか?」


「……儂はハンゾウ様に1度刃を向けた…… じゃから相談など出来んかった…… じゃが世界の為に勇者を何とかせねばと、年を取り、ボケが進んだ儂では無理がある……ユルングは儂の仕事の大半を受け持って貰ってるので忙しい。 そこで浮かんだのがハチマン様とハンゾウ様なのじゃ。 策に嵌めたような形となり、身分をばらす結果となった事、深く謝罪いたします。 ですが!世界の為に! 何卒! お願い申し上げます!」


 頭を下げ続け懇願するカトルズ。

 なんかいじめてるみたいじゃねーか……


「そんなん…… 本人のやる気次第でござろう…… ギルドでピーチクパーチク騒いで、見た目子供だ言って新しくギルドに入ろうとしてた人をいじめ、放り出す。そんな奴の何処が勇者でござる? そんなのが強くなるはずもないでござる」


 ハンゾウの発言に思いたる節でもあるのか、白い服の女が自身のスカートをギュッと握りしめている。


「大体この世界ってそんなにピンチなのか?」


『……カトルズは…… 邪竜バズズの残党を…… 気にしてる…… でございます……』


 俺の隣に光が集まり、人の形を成してゆく……

 そこに現れたのはこの世界の主神、ナディアさんの眷属であり、第一秘書のポポムさん。

 片膝を付き、俺に頭を下げていた。


「この度は私どもの配下であるカトルズによる、数々の暴挙。 管理者の1人として此処に深く謝罪申し上げます……」


 そう言って深く頭を下げるポポムさん。


「そして此度のカトルズの行動。 誠に許せる物ではなく、聖龍の地位剥奪、神界にて永蟄居とする。 連れていけ!」


 そしてカトルズの両サイドに天使の様な神の兵士が現れ、カトルズを無理やり立たせる。

 能面の様な顔をしたカトルズ。 今何を思うのだろう……


「カトルズ。 お前の思いは立派な物だと思う。 過去の功績もさぞ立派なモンなんだろう…… だが神との約束を軽く見てしまい、やり方を間違えたのだ。 神界でお前が育てたドラゴン達の活躍を見てろ 。お前の意思を継いだドラゴン達がきっと世界を平和に導くだろうよ」


 俺の言葉に涙するカトルズ。

 そして両腕を抱えられ、光となって消えて行った…


「なんか、切ないと言うか…… モヤモヤ満載でござるな……」


「そうだな…… つかポポムさん。 普通に話せるじゃん?」


「…… そう…… がんばった……」




 辺りを見回すと、無事な人間達は皆片膝を着いて頭を下げていた。

 無論、頭を下げてる対象はポポムさんにではあるが……


 そのポポムさんは頭を下げる人間の間をすり抜け、魔法使いの元に。

 そして腹に刺さっている折れた聖剣を、無造作に引き抜いた。

 「がああああ!」と叫ぶ魔法使いを無視し、聖剣片手に戻って来るポポムさん。


「これ…… 聖剣折っちゃ…… ダメ。 ナディア様の…… 昔の愛剣……」


「ああーそうなのか。 そりゃ悪かった」


 俺は折れた聖剣の柄の部分を受け取り、落ちてる剣先部分拾ってくっ付けた。

 元通りになった聖剣。 瞬間接着剤も真っ青であろう。


「…… この鎧も…… 直して……」


 ポポムさんの指差すのは俺の拳で陥没した勇者が着ている鎧。

 なんか自分で壊した物をオカンに怒られ直してるようで、ちょっと切ない……


「これじゃ…… 話出来ない…… 回復します……」


 ポポムさんが術を唱えると、瀕死の3人が回復する。

 自身の身体を触り、確認する3人は立ち上がり、俺を睨みつけてくる。

 なんだろう…… 本気で死にたいんだろうか……


「私でも勝てない神に対し、その不遜な態度…… 分をわきまえよ! 殺すぞ……」


 ポポムさんから絶対零度の殺気が噴き出す。

 人間達は皆、蒼白でガクブルである……

 ポポムさん怖えええええ……


「貴様ら全員こっちに来て立膝を着け……」


 ポポムさんの命令に従う人間達。

 そして俺等は円卓の椅子に座る。


「貴様らには、ハチマン様ハンゾウ様が神である事を、他の者に喋れない呪詛を受けてもらう」


 呪詛と言う言葉に動揺が走る。


「これはナディア様も認める決定事項である」


 問答無用に術を唱え、呪詛を掛けて行くポポムさん


「…… 今日のポポムさん…… 一味違うね」


「私…… 超…… がんばってる…… 後で褒めて……」


 後でなんて言わず、今褒めるよ。

 頭を撫でると目を細めるポポムさんだった。


 うん。ポポムさんは怒った顔よりも笑顔のがかわええ。


お読みいただきありがとうございました。

番外編があればカトルズを救済したいとは思ってます…


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ