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18 勇者=面倒と読む

「わかったにゃ! あるじは運がマイナス1000くらいにゃ!」


「ははは。 トラは良く分かったでござるな。 面倒事を引き寄せるのが主でござる」


「にゃははー てれるにゃ」


 頭を撫でるハンゾウ。 そして喜ぶトラ……


「お前等…… 泣くぞ……」


 生まれからしてデンジャラス…… 納得できる自分が嫌……


「んで、その後の勇者はどうなったにゃ?」


「慰めの言葉も無いのか…… まぁいい…… その後の勇者だが……」




 身分証をゲットした俺は、ハンゾウが畑仕事してる間、フラン王国領をプラプラしてたのです。

 フードを被り、南方面の街道を歩いていた時、森から4足で右目に×傷のある見上げる程デカい、黒いドラゴンが現れたのよ。

 近くに商人の馬車&護衛も居て大騒ぎだったんだけど…

 で、敵か味方か分からないじゃん?ドラゴンの森の仲間だったら倒すの忍びないし。

 だからユルングに念話したのよ。


《もしもーし。 こちらハチマン。 ユルング聞こえる?》


《へ? ハチマン様? いきなりどうなさいました?》


《なんか南の森近くの街道で4本脚の右目×傷もった黒いドラゴンが襲い掛かる気マンマンで目の前にいるんだが…… 仲間?》


《あーそれは仲間じゃないです。 基本仲間はドラゴンの森から出ませんから》


《じゃやっちゃっていいの?》


《はいお願いします。 しかし街道に出てきましたか……》


《ん。 取り敢えずやっちゃうから。 ありがとねー》


《ああ! ハチマン様! なんか突然、2日後にカトルズ様が神殿にてお会いしたいとの事です》


《あのボケジジイが? なんだろ?》


《私にも全く…… あの日以来会ってませんし話もしてなかったので。今朝、念話で突然連絡を取ってほしいと言われたので……》


《なんだろ? まぁ了解したー》


《お手数お掛けします……》


 まぁ目の前のを何とかしますか……

 遠く離れた商人の馬車&護衛が何か叫んでるみたいだけど…… 何だろう?


 鋭い牙が並んだ口を開け、襲い掛かるドラゴン。

 

「おくちくさい!」


 アッパーカットを食らわし、無理やり閉じさせる。

 すかさず足払いを掛け、その大きな体をひっくり返し、露わになった首にチョップ。

 バキッっと首の骨が砕ける音と感触が……

 ひっくり返り、息も出来ずもがき苦しむドラゴン。

 段々と動きが弱まり、そして動かなくなった。

 

「弱くね?ユルングが強かったのかな?」


 取り敢えず収納空間にドラゴンを仕舞う。 素材が使えるかもしれんし。

 そしてまたプラプラと探索を続けた。 遠くから呆然と見ていた商人達の存在を忘れて…… 




 約束の2日後までの間は、家の棚を作って本並べたり、クマのぬいぐるみのほつれを直したり…

 そして約束の朝、午前中にハンゾウと畑作業をやり、お昼頃にドラゴンの森、神殿の円卓の間に転移した。


 其処には、カトルズのジジイと4人の大人、そして若いのが4人。


《なんだ? この状況……?》


《分からんでござる…… 嫌な予感がするでござる……》


「おお! ハチマン様ハンゾウ様よくぞお越しく「キサマ! 何処から現れた!?」だ……さ……」


 カトルズが話してるのをぶった切って若者の女戦士(露出狂)が叫んだ。


「ああ、すまん。 場違いだったようだ。俺はハチ。 今出直しますんで」


 両手を上げて無害のポーズ。

 俺の頭でアラートが鳴りっぱなしだ。 早く脱出しないと……


「怪しいヤツめ! 剣の錆にしてくれよう!」


 そう言って抜刀し、襲い掛かって来る露出狂。

 だが子供のチャンバラみたいな剣技が俺に当たるはずも無く……


「この! ちょこまかと!」


 なんで来てくれ言われて襲われてるんだ?

 なんでこんなヤツに剣を向けられてるんだ?

 なんでだろう…… なんかムカついてきたぞ…… 


 女戦士が両手で振り下ろしてきた剣を指で掴み、ペキッっとへし折った。

 驚愕の表情の女戦士。

 その両腕を掴み、バギッっと骨を砕き、がら空きの脇腹に蹴りを入れ、壁際に吹き飛ばした。

 女騎士は有り得ない方向に腕が曲がり、虫の息である。


「な! ユリアース! キ、キサマー!」


「アンタ何てことしてんのよ!」


 今度は若者の男が剣を抜き、そして魔法使いっぽいのが詠唱を始める。

 男の技量も女戦士と大差なく、迫る銀色の上等そうな剣の腹を裏拳でコンっと叩くとパキンと割れ飛んで行った。


「な!俺の聖剣が!」


 随分と柔い聖剣である。

 そして驚いてる男の腹に、ボディーブロー。

 血反吐を吐く男。拳を離すと男の着ていた鎧は10cmほど陥没し、拳の痕がハッキリ残っていた。

 そして迫る魔法使いの放った火の玉。

 俺は躊躇する事無く、男の襟首を掴み、盾にし、男に直撃させた。


「ああ!!カイーーーン!」


「なんて酷い!」


 叫ぶ魔法使い。 そして白い服の女。

 俺は男の持ってた折れた剣を奪い、魔法使いに投げつけた。


「え?」


 腹に刺さった剣を見て、理解出来ない表情の魔法使い。

 だがそれも数秒。 床に崩れ落ちた。

 俺は持ったままだった男の身体を放り投げる。

 無事な5人は言葉が出ない。

 沈黙するこの場には、瀕死3人の呻き声だけが響いていた……


「カトルズ。説明しろ」


 冷たく冷え切った声で命令する。


「え、あぁ…… あの…… 「なんて酷い事を! しかもカトルズ様に対して無礼な!」……」


 白い服の女が立ち上がり、叫ぶ。


「余りにも惨い! そちらの男性は勇者ですのよ! しかも神より授かりし聖剣まで折ってしまうなんて…… 貴方には主神ナディア様より天罰が下る事でしょう! ああ!早く回復しないと!」


 キャンキャンと五月蠅い。


「やかましい!」


 殺気を辺りにまき散らす。

 座っていた大人4人とカトルズは殺気に当てられ顔面蒼白。

 立って叫んでいた女は、腰が抜けたのかペタンと床にへたり込み、絨毯にシミを作っていた。


「そもそも、先に襲ってきたのはお前等だ。 なんだ? 大人しく斬られろとでも言うのか? こんなヘッポコ剣技でやられる訳ないっつーの。 勇者とか聖剣とか知らん。 裏拳1発で折れるようなナマクラいらんだろ? それにこの部屋には外に出れないように結界を。 そして簡単に死なない様にギリギリ生命力が残るよう、そして意識はハッキリするように魔方陣を展開してある。 俺に剣を向けたんだ。 簡単に死なれちゃ困るんだわ。 まぁ怪我の激痛だけは残ってるから、気絶も出来ないこの状況は地獄だろうな」


 この部屋を絶望が支配した……


お読みいただきありがとうございます。



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