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五十三話

「何とか完成したね、一曲目」


 まだ帰路に就いて間もないころ、隣で歩くすみれがそう口にした。


「そうですね……」 


 まるで感情が抜けたような口調でハクはそう返す。

「でも明日からまた一から取りかからなきゃだもんね」


「………ですね」


 瞬間、すみれは急に足の動きを止めた。

一歩二歩と、時間が経つに連れてあっという間に差が開いていく。


 しかし今尚、ハクは道を一人歩き続けている。

 それを目にしたすみれは、信じられないというように目を見開いた。


「ハク!」


 少し強めな口調ですみれは呼びかけた。そしてようやく、ハクは動きを止める。


「………え?」


 振り返り、異変に気づいたハクは思わず目を見張った。


「どうしたんですか? すみれさん……」

「それはこっちが聞きたいよ」すみれは言った。「どうしたのハク? 何かあったの? 何か今日、ずっと様子おかしかったよ」

「――――」


 ハクは驚いたように目を大きく開いた。


「……そんなにおかしかったですか、ぼく」

「うん、すっごいおかしかった」

「…………」


 すみれはハクの元へと近寄りだす。


「悩み」すみれは言った。「あるなら聞かせてよ。一人で抱え込まずに」

「…………」

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