13・3
先生だろうか。まったく嫌なタイミングで目をつけられたものだ。
職員と見られるその男は部屋の中に入えると、すぐさま自分の元へ近づいてきた。
自分は目を凝らしながら、その男の顔を確かめると――。
ハクは慌てて立ち上がった。
よりによって生徒指導の先生だとは思わなかった……。
「……すいません」ハクは迅速に謝った。
「何をしているんだと言っているんだ」生徒指導はさらに口を尖らせる。
「……部室を、掃除してました」
「掃除? おまえ一人でか?」
「そうです」
周囲を見渡す先生。すぐにその変化に気づいたらしく、目を丸くしている。
「たしかに……きれいになっているな。前まで埃まみれだったからな、ここの部屋は」
先生は再び厳しい眼差しで、再び自分の方へ向き直った。
あまりの威圧さに、ハクは死んだ魚のように固まる。
「で、どうしてここを掃除していたんだ?」
当然、そう聞いてきた。
「その、新しく部活を作って……それで新しくここを部室として使わせてもらうことになったので……だから掃除を」
「部室? 許可はちゃんと取っているんだろうな?」
「はい……担任の谷崎先生に使っていいと言われました」
「ああそうか。事情はわかった」と先生。「だがな、もうとっくの前に完全下校の時間が過ぎてるぞ」
「……?」きょとんと、ハクは目を丸くした。
「時計も見らずに行動していたのか? いいからさっさとここを出て帰宅しなさい。わかったか?」
「はい。わかりました」
「気をつけて帰えるんだぞ」
「はい」と返事をした後、ハクはそのまま早歩きで下駄箱に向かった。
家に帰って時間を確認すると、すでにもう八時を回っていた。
「おかえり。どうしたの……今日こんなに遅く帰ってきて」
帰宅すると、真っ先に母が出迎えてきた。当然自分に怪訝な視線を向けてくる。
「あぁ、えーと……。ちょっと、先生に怒られてた」
すぐさまお風呂場へと走る。取り調べのように事細かく聞かれるのは御免だ。
「え、ちょっと待って。怒られてたって……何か問題でも――」
ドンッ。そんな母をよそに、ハクは強く引き戸を閉めた。
しかしその後も、あまりに執拗に聞いてくるものだったので、「大したことじゃないから大丈夫」とだけ少しだけ語気を強めて扉越しに言った。
諦めがついたのか、それとも呆れたのか。掛け続けていた母の声もじきに聞こえなくなった。
その夜。
入浴、食事を済ませ、寝間着に着替え歯磨きまで終わらせたハクは、自室のベッドに寝そべりながら携帯をいじっていた。
適当に開いていたゲームに熱中していた最中、突然メールの通知が表示される。
ハクは開いていたそのアプリを中断するなり、すぐさまそのメールへと移行した。
液晶越しに映し出されたそれは、本当に思いもしなかったものだった。困惑したように、ハクは思わず顔を歪ませる。
「何、これ……」




