十三話 部室
ブックマークをしてくださった方々、評価をしてくださった方、そして本作をお読みになられた方々、本当にありがとうございます。モチベーションがみなぎる気持ちです。
――籔島は終わったらすぐ私のところに来るように。
それは帰りのホームルームが終わる間際のこと。
一番後ろの席で極力目立たないように帰宅の準備をしていたとき、担任がいきなり自分の名前を口にして思わず手が止まった。
(何かやった……?)
あまり目立ちたくない。
それが自分の本望で、ほかの生徒に聞き耳を立てられないように皆が教室を出ていくのを待ってから担任の元へ行こうと、そう思っていたのだが――
「籔島ー?」担任はまだかと、教壇の方から目立つように声を張った。
残念ながら、それが逆に皆の注目を集める羽目になった。
「はい……」
怒られるようなことをしたのだろうか。
記憶を遡ってみるが、自分はそんなことをした記憶はまったくない。
けれど、自分を呼び出すということはきっと何かあるのだろう。
マイナスなこと思い浮かべながら、担任の目の前に立つ。
「遅いぞ」担任はたしなめるような口調で言った。
「すいません……」
この後も同じように厳しい口調のまま続けるのだろう。そう思って、自分は叱られるのを覚悟する。
すると意外や意外、担任はすぐにその表情を和らげた。
「この前おまえが提出した書類を生徒会の方に渡したんだけどな。そしたら、生徒会の先生に話をされたんだよ。結論から言うと、この前言ってた機材が学校内にあるそうなんだ」
「え……?」
「先生によれば、昔この学校に『器楽部』とかいう部活があったんだと。まぁ、籔島が作ろうとしている、演奏部? とほとんど変わらない感じの部活でな。そこで使われていた機材がまだ残っていたらしいんだ。少し古いとは言われていたが、使う分には全然大丈夫だそうだ。良かったじゃないか。そこんとこの問題が解決できて。とにかく、今日から部室を使っていいって話だ。機材は後日また――」
(器楽部……? そんな部活あったんだ)
「部室、どこかわからないだろう? よかったら今から案内するぞ?」
「あ、はい」
(とりあえず、このことすみれさんに連絡しないと)
すぐさま、携帯を取り出し先生の背中についていきながら、メールアプリを開く。
「………」
だが、なぜか指が止まった。
画面に新しく追加された部活用のグループチャットが視界に映ったとき、自分の中に何かしらの抵抗感を感じ取ったのだ。
「こら。歩きながら携帯を触るな」
そんな担任からのお叱りが耳に届き、とっさに前を見ると担任の目は自分を捉えていた。
担任は再び前方を向いて歩きながら、「次やったら没収だかんなー」と言ってきた。
「すいません」
さすがにいけないと、反射的に携帯をポケットの中へ突っ込む。
脳なしに、担任の背中を追うように足を動かしていると、担任はいきなり足を止めた。ハクは多少びっくりしながら急停止した。
担任が「ここだ」と口にし、自分は担任が見ている方向そのままに左側に目をやる。
「………!」




