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#26 魔道具店にて

「二日そのままとは、意外と長かったな」


 二日間ほど降り続いた大雨は止み、宿から出てみれば空は雲一つない快晴が広がっていた。

 しかし同時に一部では土嚢があったものの浸水や、汚れがひどい場所もあり、対応に追われている人もいた。

 そんな中で俺が足を向けたのは魔道具店だった。

 基本的にご飯は店で食べるか、そのまま食べれるパンやらを買って宿に持ち込んだりしていたが、魔道具で火を使えればお湯も沸かしたりできるだろうし、他にも生活を便利にする魔道具はあるはず。

 それと大雨の中暇していたため、何か暇をつぶせるような。おもちゃになるものはないかと見に来た次第だ。

 店内に入り、若い男の店員へと声をかける。


「すみませーん。ちょっといいですか」


「はい、ウェルツ魔道具店へようこそ。何かお探しですか?」


「駆け出しの冒険者なんですけど、おすすめの魔道具を教えてもらえますか」


「冒険者さんですね。少々お待ちください」


 そう言いながら、店員が奥に引っ込んでいった。

 店に並ぶ魔道具の近くに品名のかかれた札もあるが、字が読めないため何が何なのか全くわからない。

 仕方ないので店員に丸投げするほかないが、字が読めたとしてこの世界に来て日の浅い自分で選ぶよりも、店員に任せた方がいい買い物はできるだろう。

 冒険者と言っておけば、怪しまれることもない。

 あるいはライレインについてきてもらうのも手だったか。

 そんなことを考えていると、店員が魔道具を持って戻ってきた。


「駆け出しの冒険者でしたら、それぞれ火、水、風、土を生成できる、こちらの魔道具がおすすめですよ」


 店員が片手で握れる長方形の魔道具から、火を出しては消し、水を出しては止め、風を出しては止め、最後に土が零れだした。

 なるほど魔道具は機能が複数あるものもあるらしい。

 風と土はイマイチ使いどころがわからないが、ライターと水筒のハイブリッドの役割と考えれば、悪くはないだろう。


「じゃあこれと……あと実用性はなくてもいいんですけど、見てて楽しいものとかありますか」


「視覚的に楽しめるものですか。生憎うちは機能性重視なのですが、あるとすれば……」


 店員が追加で両手に魔道具を持ってきた。

 起動すれば片方からは光が、もう片方からは紫と黒色の光の球のようなもの……闇とも言えるものがあふれ出した。


「光の方は敵の目を潰すのに使えます、暗がりでなら影絵とかでいくらでも使いようがあるでしょう。もう片方はなぜ仕入れたのかもわかりませんが、見てて楽しい……かもしれません」


「ちなみにそれって、どのくらい大きくできます?」


「どちらも効果を最大にすると……」


 光の魔道具は店内をこれでもかと眩く照らし、闇の魔道具はその光に負けじと店員をすっぽり闇の球体で包んでしまっていた。なるほどどちらも出力はそこそこ強いな。球が少しの間滞留するのもいい。

 人一人を隠せるだけの機能があるなら、これは娯楽というより時間停止を誤魔化すのに使えるだろう。

 店員が魔道具を止めると光が消え、少し停滞していた闇の中から店員が姿を現した。


「実演助かりました。先のやつと合わせて、光じゃない方もください」


「お買い上げありがとうございます。魔道具は魔力が尽きたら動かなくなります、補充を忘れないように注意してくださいね」


 そうして、おすすめされた二つの魔道具を買って、店を出た。

 魔力の補充は、切れたらライレインにお願いするとしよう。

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