その48
誤字報告いつもありがとうございます。
絶好調に機嫌良く迷宮に向かっています、やはりスウィーツというのは幸せを運んでくるものなのです。
「今後も安定供給してもらうためには、メインとなるりんごが大量に必要ですね!」
テンション上がりまくりです、今日もお野菜とお肉を梯子しましょう! 勢いのまま転移魔法で直行したい所ですが、魔力は温存しなければと考えなおし、徒歩で向かいます。
狩っている最中にヘバってしまったら大変ですからね。
トコトコトコっと気持ち足早になりながら迷宮入り口に到着。いつもの職員さんが立っています… あっ目が合ってしまいました、こっちに歩いてきますけど…
「おはようございます! これから狩りですか? 頑張ってくださいね!」
「は、はぁ… そのつもりですけど」
「いやぁ昨日ブラックコカトリスの肉を試食したんですけど、素晴らしいですね! 現状狩れる冒険者はアリシア様しかいませんので期待しています。今日中に同僚達が販路を切り開いてくると思いますので、良かったらまた販売してくださいね!」
「あら、食べたんですか? 美味しかったでしょう? もちろんたくさん狩るつもりでいるので、買い取り価格の方も勉強してくださいね?」
「はい、お任せください!」
ふふっ、どうやら黒コカ肉の虜になってしまったようですね。まぁわかりますよ、アレは絶品ですから。ネギとのコラボは鉄板ですよね!
思いがけない意見を聞けたので、職員さんとの会話も悪くは無かったと思い、一瞬下がりかけたテンションが戻ってきました。
転移陣に乗り、制御室まで直行し、その勢いのまま49階層の畑に向かいます。
カボチャとトウキビの在庫は結構あるのですが、そこの畑だけスルーするのもなーと思い、結局全て回る事にしました。
収納魔法は魔力依存なので、まだまだたくさん入りますよ~!
野菜→肉→野菜→肉… エンドレスで周回しつつ、今回は飽きないようにと工夫を少し凝らしてみました。
畑の魔物は収穫という名の食材拾いが大変なので、今まで通りレーザービームで一閃。ブラックコカトリスを狩る時だけ剣を使いました…
「とやー!」
迫りくる黒いアレを次々と斬って捨てます、そう… 私は接近戦もデキる女なのです。
「最近は魔力を消費しているとはいえ、美味しい食べ物ばかり食べ過ぎているので運動もしないとですよね」
体質的に太りにくいとはいえ、鶏肉料理や野菜炒め、デザートにりんごとか食べているのでカロリー的に心配になってきたのです。ましてや今晩はアップルパイが待っていますからね、食べない選択肢など無いですし、でも太りたくも無い…
「ならば… 体を動かすしか無いですよね!」
身体強化と魔法障壁でしっかりと魔力も消費しつつ、縦横無尽に剣を振り回します。剣だって素人ではないんですよ? 前世の私は剣道の有段者でしたし、幼い頃から隠れて修練はしていましたから。
「ふぅ~、いい汗をかきましたね。一度制御室に戻ってお弁当にしましょうか… ソファーにテーブルもある事ですしね」
黒コカ肉を回収し、スタスタと制御室に向かう。
お弁当… 今日もサンドイッチのようですが、何やら少し重たい感じがしますね。サンドイッチの他にも何か入っているんでしょうか… しかしあの料理長さんの事ですのでハズレを引くなんて事は考えられません、急ぎませんと!
制御室に到着し、先日設置したソファーに座ります。
テーブルを少し見てみましたが、どうやら埃などは乗っていませんね… まぁ綺麗な状態なら問題ないんですが。
「とはいえ、いくら綺麗に見えてもやはり拭かないと落ち着きませんよね」
手拭いを収納から出し、魔法で湿らせてテーブルを拭く。そして制御室そのものが薄暗いので、ライトの魔法で明かりを取ります。
「これは… 明かりの魔導具を設置した方が良いですかね、薄暗い中に長時間いると、なんとなく気分も滅入ってしまいますよね」
戻ったら探してみようと心に決め、お弁当が入った籠を取り出します。
「やや? りんごの蜂蜜漬けが入っているじゃないですか! さすがは料理長さんです、分かってらっしゃる」
デザートの存在に、またしてもテンションが上がって行きます。そして… デザートを先に手を出してしまいました。
「美味しいです! これは絶妙な味ですね… 作り方を聞かなくてはいけなくなりました」
改めて、甘酸っぱいタレが付けられたコカ肉サンドを頬張りましょう。本日の消費カロリーも多いはずなので、お肉がたくさん入っていても気になりません。昼食後も頑張らないといけませんね…
─ショコラ王国西部、SIDE:カラメル辺境伯夫人─
「カラメル様、牢馬車を発見いたしました」
「良くやりました、では接触してちょうだい。交渉そのものは私がやりますわ」
馬車の窓から覗き込んでみると、かなり前方に牢馬車が走っているのが見えました。接触と言ってもこれではもう少し時間がかかりそうですね。
ともあれ、牢馬車はとても目立つので発見するのが容易かったというのは良い事です。仕事は楽にこなせる方が良いですからね…
それから2時間ほど走ると、ようやっと追いついたようで並びかけて声をかけます。
「護衛兵に告ぐ、こちらはレクタングル辺境伯夫人カラメル様が乗車されている。護衛兵の皆に話があるとの事で、一度停車願いたい」
「はっ、陛下からお話は伺っておりました。もう少し先に停車場があるのでそこで休憩いたします」
「承知した、快諾感謝する」
どうやら話はまとまったようですね、こちらにも会話は聞こえてきましたので、恐らく牢に入っているタルト家の者達にも聞こえていたでしょう。
まぁ聞こえていても問題は無いですけど… どうせ逃げる事も隠れる事も出来ないのですから。
ただ殺すだけならこの場で斬っても良いんですが、死体の処理が困るんですよね。やはり面倒ですが、迷宮都市ボンボンまで向かって、迷宮内で処理しましょう。
迷宮が死体を喰らってくれますからね。
数分後、街道から少し離れた所に整備された広場があり、そこで休憩をとる事になった。馬車を降りて護衛兵の責任者に会いに行く。
「お会いできて光栄でございますカラメル夫人。自分はこの部隊の隊長を務めております、ルック子爵です」
「急な事で申し訳ないですね、少しばかりお願いがありますの」
「はい、陛下から伺っておりますので大丈夫です」
「それなんですけど、お兄様はなんと仰られたのです? なんだか悪口を言われてる感じですわね」
「いえいえ、レクタングル辺境伯様の怒り具合を考えると、途中で襲撃してくるかもしれないと忠告を受けていまして、もしそうであれば融通するようにと言われておりました」
「そうなのね、それなら話は早いですわ。それでは今後の予定をお話ししますので、その融通を効かせてくださいませ」




