その26
新作の方もよろしく┏oペコッ
「はぅ~、やはりお風呂はいいですねぇ。ビターの町で入ったきりでしたから… 4日ぶりですか! それは禁断症状が出ても仕方が無いですね」
いくらクリーンの魔法で清潔を保てると言っても、髪やお肌の水分補給は出来ないので肌荒れが出てしまいます。さすがに迷宮内で浴槽に浸かるのは精神的に厳しいですからね…
しかし、面倒事を早々に片付けたかったからといって、私が使徒であると暴露してしまいました。明日は騒ぎにならなければいいのですけど…
それとも、目的のお肉は手に入れたのですから違う場所に行くというのもアリかもしれませんね。どちらにせよ、お肉以外の物をギルドに収めてこないといけません。
「色々とドロップはありましたから、いくらになるんでしょうね。他にも食材の情報があればいいのですけど…」
お風呂から上がり、寝る準備を整えてベッドに潜り込む。やはり転移魔法は魔力の消費が多すぎますね、改良しようと思っていたのですが、忙しくてやっていなかったことを後悔しそうです。やはり使ってみると便利ですからねぇ
翌日、ギルドに向かってドロップ素材を換金する。主にコカトリスの魔石なんですが、上位種と思われる黒い方は魔石も気持ち大きい物なので、少しは足しになるでしょう。
「おはようございます、換金お願いします」
「あっ、はい!すすす少しお待ちください!」
受付嬢さんの態度がおかしいですね、これはもう情報が行き渡っていると考えていいでしょう。まぁまた余計な事をしてきたら、この世界でも冒険者ギルドを辞めてしまいます。
ふふっ、まさか世界を跨いでまでギルドを辞めるとか、こんな人はいないでしょうね。
1人で考えながら思わず頬が緩んでしまいます。
「お待たせしました、あの…ギルドマスターがお話をしたいと申しているのですが」
「お断りします、魔石はどちらに出せばいいのですか?かなりの量がありますけど」
「魔石の方はこちらにお願いします」
受付嬢さんは大きな籠を取り出した。この中に入れろという事でしょうけど、これでは収まりませんね。とりあえず収まる分だけ入れましょう。
「こ、こんなにあるんですか?」
「いえ、まだまだ半分くらいです。コカトリスの上位種と思われるものの魔石もあります」
「コカトリスの上位種ですか?そんな報告はありませんけれど」
「そうなんですか?40階層を越えたあたりから出てきましたけど、黒い奴です」
「ええ? 40階層を越えたんですか? この迷宮の最高到達点は37階層だったんですけれど…」
「あら、そうでしたか。昨日は45階層まで行きまして、黒いコカトリスのお肉を集めていました」
「あわわ… その、お肉の納品は…?」
「これは自分で扱う食材ですので売りませんよ?」
「ちょ、ちょっとお待ちください!」
受付嬢さんはまたしても奥の方に消えてしまいました。朝も早い時間なので、他にも冒険者がいるのですが、なにやらざわざわとしています。
まぁ私のような小娘が最高到達点を越えたなんて話になれば仕方がないでしょうか… そもそもこの話を信じてる人なんているのですかね?
自分でいうのも情けない話ですが、私は年齢を当てられた事は無いのです。大体が14~5歳に見えるようで、18歳だと言うと驚かれてしまいます。そんな見た目の者が、45階層まで行ったと言っても誰も信じないでしょうね。
まぁどうでもいいですけど。
「あの!やはりギルマスに会っていただけないでしょうか?」
「私には特に用事は無いんですよね、それに… ギルドマスターが用事があるのなら、こちらへ出向いてくるものじゃないんですか? 私は換金さえできればそれでいいので」
「そんな… ちょっとだけでいいですから!」
私の腕を掴んで、潤んだ眼で見上げてきます。 くっ、この受付嬢さんも上級者ですね! おねだり上手とはこういう人のことを言うのでしょう。 まずいです、負けそうです!
「お願いしますぅ、本当にちょっとだけですから、階層の説明と上位種の魔石とお肉を見せるだけの簡単なお仕事ですよぅ」
「お肉は売りませんよ?」
「それは… サンプルとして少しで構いませんのでお願いします!」
くっ… 負けを認めるしかないようですね…
「わかりました、本当に少しですからね? 変に話が長くなるようでしたらすぐに出ていきますから」
するとどうでしょう、目を潤ませて懇願していた受付嬢さんの顔が満面の笑みに変わりました。恐らく彼女がこのギルドの看板娘なんでしょうね、笑顔が素敵です。
なんて考えている内に、受付嬢さんに手を引かれて建物の奥に連れて行かれました。
連れていかれた先の部屋には、見た感じまだ30代半ばと思われる男性が書類が散乱した机に向かって仕事をしていました。
「ああ、呼び出してすまなかったね。私がここのギルドマスターを務めている者だが、早速で悪いけど、上位種の魔石とドロップの肉を見せてもらえるか?」
ふむ、ギルドマスターという名前なのですね。まぁ名乗らないならこちらも名乗りませんが、まぁいいでしょう。
一応気を利かせて、散乱している書類を汚さないようずらしてから魔石とお肉を出します。通常のコカトリスの魔石のサイズが直径3センチほどに対して、黒いコカトリスの物は4センチは軽くあります。
「ほほぅ、確かに普段納品される物よりも大きいな。肉もなんだかうまそうだし… 魔石は何個くらいあるんだ?」
「正確に数えてはいませんが、200個以上はありますね」
「200個以上? それは全部買い取るのは厳しいな。財政的な理由で」
「それはそれで構いませんよ、何個なら買い取れますか? 通常コカトリスの魔石もまだありますが」
「一体何匹倒してきたんだ… うーん、上位種の魔石は50個が限界だな。先に納品した分はどれくらいあるんだ?」
ギルドマスターが受付嬢さんの方を見ながら話しかけると、受付嬢さんは困った顔をしながら言いました。
「先ほど出された分は220個ありました、単価が銀貨10枚なので銀貨2200枚、金貨だと22枚になります」
「そうか… この大きさの魔石であれば単価は銀貨20枚はするだろうな。 あーすまんね、なんせこれだけ大きな魔石を出されたのは初めての事なんだ、ちょっと単価を付けるのに時間がかかりそうだ」
「そうですか、それでは通常コカトリスの魔石だけお願いします」
「ちょっと待ってくれ、すぐにこの大きさの魔石の単価を調べるから、4~5日滞在してくれないか」
「うーん、まぁいいでしょう。迷宮に入っていればそのくらいすぐに経ってしまいますから」
「その時までにこちらも金貨を用意しておくよ」
滞在が決まってしまいましたね、まぁいいです。またお肉を狩りに行きましょう!




