その25
のんびり不定期連載です。
「とやとやとやー!」
多数の光線、ビームライフルが乱射されたように大量のコカトリス達を貫いていく。
「ふふふ、大量ですね。もっともっと行きましょう!」
すでに45階層まで進んでいて、上位種と思われる黒いコカトリスが集団で襲って来ていたのだった。しかし、探知魔法で事前に数と方向が解っているため、近づく事もできないままビームライフルの餌食となっていた。
「そろそろ在庫としては十分ですかね、この黒いコカトリスは私がいた世界では見た事ないので、きっと希少価値が高まるでしょう!」
ドロップする肉塊が、すでに200個を越えている。当然通常のコカトリスのお肉もそれ以上あるので、孤児院の子供達で毎日食べても1年は持つでしょう。
「さてさて、狩りを止めるのは良いのですが、これからどうしましょう。真っ直ぐ戻って2日ちょっとくらいだと思いますが、迷宮というならば、きっとキリのいい50階層とかに入り口に戻る魔法陣とかありそうな気もしますよね」
一瞬迷いましたが、無かった場合の事を考えて戻る事にしました。来る時と違って帰り道は分かっているので早く戻る事が出来るでしょう。
そういえば忘れてましたが、私の魔法研究の一つに転移魔法がありましたね… 普段使っていないからすぐ忘れてしまいます… せっかくなので使ってみましょう。
転移したい場所を明確に思い出すのです! 迷宮の出入り口なんか良いですね。 それでは発動!
─ショコラ王国王都、ギルド前─
「これは親衛隊長殿、このような異国の地で会うとは珍しいですね」
「そうでもないぞ?我らはボジョレー殿下を追って来ていたのだから、会えて良かったよ」
「え?殿下を追って…ですか?」
「そうだ、これを見てもらおう」
親衛隊長が取り出したのは、王のサインが入った第3王子ボジョレーの捕縛命令書だった。
「え?これはどういう…?」
「第2王子のブルゴーニュ殿下が国家反逆罪で捕縛された…と言えば伝わるか? 今の時点でこの町には親衛隊30人が来ている、抵抗は止めて大人しくするがいい。それとも国に残した家族に迷惑かけてでも抵抗するか?」
「いえ…その」
「では、ボジョレー殿下の元へ案内してもらおうか」
「わかりました…」
2人組の1人だけ案内役として連れて行き、もう1人は城下町の外で待機している親衛隊の所まで連れて行かれた。
その後すぐに、ボジョレーの泊っている宿まで行き、話をすることになった。
「ボジョレー殿下、王命が発令されていますので、いますぐ我らと共に王城へ向かっていただきます。異論を挟まれないようお願いいたします」
「そうか、ブルゴ兄様は投獄されたのか。それで、俺の待遇はどうなっているのだ?」
「現状ではブルゴーニュ殿下の独断であると判断されています、本人の証言ですけれど」
「本人の証言だと?」
「はい、ブルゴーニュ殿下本人が言っていました。ボジョレー殿下を使い走りにしていたと」
「ふん、そうか。まぁ間違っていないところが悔しいがな」
「それでは?」
「ああ、父上に逆らう事など無い。すぐに国に戻ろう」
「賢明なご判断、ありがとうございます」
「それよりも、わざわざローズ姉様の親衛隊が迎えに来るとはな…」
「それも理由はあるのですが、詳細は陛下の方から聞いてください」
「わかった」
(ふふ、そうかそうか、ブルゴ兄様が墓穴を掘っていたのか。そうであるならば、ここで逆らって立場を悪くする意味は無いな。この状態なら邪魔になるのはローズ姉様のみ、使徒を手に入れさえすればいくらでもひっくり返せるだろう。今はまだ、大人しくしていてやろう)
ボジョレーを含む使節団は、親衛隊30名に連れられてロゼ王国へと帰還する事になった。
─迷宮都市ボンボン、迷宮入り口─
「うわああああ! 人が急に現れたぞ! 衛兵を呼べ!」
「あら、なんですか?騒々しいですね」
転移魔法が成功して迷宮の出入り口に出てきたのですが… ばっちり人に見られてしまいましたね。トラブルの予感が…
「お前! 一体何をしたんだ? 急に現れるなんておかしいだろう!」
「何を…と言われましても。秘伝の魔法としか言えませんね」
「どういう事だ? 説明しろ! その前に捕縛するから大人しくしろ!」
「はぁ… これは権力を使う時のようですね」
「権力だと? 一体何の話だ?」
「いえいえ、こちらの話です。この私に向かってそのような横柄な態度を取っているのです、相応の覚悟があると判断します。どのような神罰が下るのか、震えながら待つといいですよ」
「え…? 神罰… という事は?」
「いえいえ、なんでもありませんよ。捕縛でしたか?お好きにどうぞ」
すっかり熱くなってしまっていた出入り口を管理する職員を落ち着かせるため、わざとパワーワードをねじ込みながら無抵抗を装う。
「いや…その、そうだ! ギルドカードの提示を!」
「これですか?」
持っていたギルドカードを差し出します。そこには私の名前とランクが書いてあります、果たして思い出せるでしょうか?神託に私の名前が出されていたことを。
「アリシア…? え、確かアマンダ様の神託に出ていた使徒様?」
「さぁ?どうでしょうか。まぁどちらにしても、あれほどの暴言を吐いたのですからすでに手遅れでしょう。なので、どんどん罪を重ねていけばいいと思いますよ? 抵抗はしませんから捕縛でも何でもどうぞ?」
「ま、待ってくれ… いや待ってください!」
「私も45階層まで行っていたので疲れているんですよ、なので早くしてもらえますか?」
職員さんは、すっかり青い顔になってガタガタと震えだしてしまいました。そろそろ許してあげても良いですかね…
「大体ですね、転移の魔法くらいでここまで大騒ぎするなんて修行が足りませんよ? そして、すぐに権力を使って押し通そうとするなんて事をやっていると、同じく権力によって叩き潰される事は容易に想像がつくでしょう? 全く何をやっているのですか」
「申し訳…ありませんでした」
ふふっ、どうやら私の勝ちのようですね。今日はこの辺で勘弁してあげましょう、いい加減お風呂に入りたいのです。
職員さんの頭も冷えたようで、急に静かになったので不問にすることを伝え、お風呂のある宿を紹介してもらうのだった。
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