44話
そろそろクライマックス。
そんなわけで、様子を見るためにハクを残して凍土から出る事にしました。
「それではハク、しばらくはここに住んでみて魔力の流れを確認してみてください」
「うむ、承知したぞ主よ」
「この場所で今まで通り過ごしてみて、凍土が広がらないようでしたら言う事は無いですね。私も時々顔を出す事にしますね」
「そうしてくれ、我も数百年ぶりに他者と喋ったが、会話するというのもなかなかいいものだ」
こうして凍土が広がらないようにする改善策を模索する事になり、フローラ様も一安心といった感じでした。
【神託を発する。大陸北部を凍らせていたホワイトドラゴンは我が使徒が従属させ、これ以上凍土が広がらぬよう処置をした。今後大地は少しずつ解けていく事であろう】
フローラ様も神託を出されましたね。
それにしても、婚約破棄から始まった国外での活動も3ヶ月近くになりましたが、本当に色々とありましたねぇ…レッドドラゴンとの突然の遭遇戦、知らないうちに愛し子になってたり使徒になったりと目まぐるしい時間でした。
【これにて大陸を破壊、汚していた竜種の問題は全て片付いた。この地に住まう者よ、今後も大地を育み、大地と共に生きるがよい。そして次は警告だ、我が使徒に対して嫁になれだの従えなど戯けた事を抜かしたカムリ王国の王とそれに賛同した貴族には、加護の半分を剥奪する。警告に従わなかったと認められた場合は即座に全ての加護を剥奪とする、ゆめゆめ忘れる事の無いよう努めるがよい。大地を育む民に非道な行いをする者も同様である、貴族であることの意味をよく考えるがよいぞ】
今日の神託は少し長いですね、それだけフローラ様にも思う所はあったのでしょう。カムリ王国に対するお仕置きもやって頂けたし、警告というには厳しい気はしますけど… さて、今後の予定はどうしましょうか。
とりあえずはもう少し温かい所まで南下するのが先ですね、ゆっくり休みたいですし町にでも行きましょうか。
クリーム王国王城
「なんという事だ!グリーンドラゴンの討伐からまだ数日しか経っていないというのに、もうポテチ王国まで行っていたのか! 我が国の王都にも訪れるだろうと思っていたのだが…」
「陛下、使徒殿を城に案内するために放った使者はどうしますか?」
「ポテチ王国にいるというのならば捜索したところで時間の無駄だ、即刻帰還するように伝令を出せ」
「承知しました」
クリーム王国の軍部を司る騎士団長が部下に指示を出すために下がっていった。
「むぅ、息子に篭絡させてこの国の守護神に祭り上げようと思っていたが…ポテチ王国にいるのならば、遠いせいで使徒の情報が流れてくるのにも時間がかかるだろうな。使徒の動向を探るために諜報部隊を放つべきであろうな。創造神は無理矢理使徒を娶るのは認めないようだが、使徒の方からこの地に住みたいと思わせればいいのだろう?」
クリーム王国の王は顎髭を撫でながらニヤリと笑っていた。
「我が息子は若かりし日の儂に似て見た目は良いからのぅ、腹は黒いがな!」
セリカ王国王城
「うむ、使徒殿であれば必ず成し遂げると思っていたが、なんとも早い解決だな。しかしこう言っては何だが、ホワイトドラゴンを討伐したのではないのならば素材も無いという事だろうな…少し残念かもしれん」
「陛下、何てことを言っているのですか!目に見えていた災害が無くなったのですよ?使徒様の偉業を称えるならともかく!」
「そうですよお兄様、あのボンクラの陛下達にも罰が下ったようで良い気分でしたのに、台無しですわ!」
「いや…それは俺に関係なくないか?」
王の執務室に集まっていた王妃セリーナと王妹アルフィナは、王を睨みつけていた。
「しかし陛下、我が国は今後もドラゴンの素材を売っていただける約束を取り付けております。すぐにまたお会いする事が出来るでしょう、今度こそゆっくりと語り合いたいものですわ」
この国の王室には平穏な空気が流れているようだ…
セリカ王国王都
「お?使徒が最後のドラゴンを何とかしちまったみたいだな」
「そうみたいね、さすがアリシアだわ」
「ホワイトドラゴンの生息地ってポテチ王国でしょ?使徒さんは次に行くのはどの国なんだろうね」
「さぁな、案外母国に戻ってみたりするんじゃないか?」
「よし、それじゃあ私達も次の目的地はガーナ王国で」
「うまく依頼があればな」
セリカ王国に仕事で来ていた【赤き咆哮】の3人は、ギルドで西方に行く護衛依頼を探したのだった。
ガーナ王国王都郊外
「あったぞ!地下通路だ」
「多分この通路が王城に通じる隠し通路なんだろうな、よし!王族どもを討ち取りに行くぞ!」
王都を拠点に活動していたDランクパーティ【ブレイバー】の4人は勢いのまま地下通路に入っていった。ブレイバーの4人は全員が若く、初心者、新人、青二才、未熟者といつまで経っても不名誉なあだ名で呼ばれ続け、どうにか一獲千金を狙っていて、情報屋に銀貨20枚も払ってまで地下通路の情報を買ったのだった。
「これさえうまくいけば、俺達の名も上がるってもんだぜ!しくじるなよお前ら!」
「お前がな」
「全くだ」
「いいから早く歩け」
「くそっお前らぁぁぁ!」
真っ暗な地下通路を松明を掲げながら進んでいく、出入り口のあった石造りの小屋から王城までの距離を考えると2~3時間は軽くかかるだろう。相手がいくら加護無しの貴族とはいえ、数に任せて特攻されれば不覚を取るかもしれない、なので疲れを残さないようじっくりと進む必要がある。
「お前ら何やってんだ!置いていくぞ!」
「おう行け行け」
「そして疲れ切って肉壁になってくれ」
「お前の名は語り継いでやるよ、アホだったってな」
「くっ…」
どうもリーダーの人望は薄いらしい。
およそ4時間後、ブレイバーの4人は王城側の出入り口に辿り着いていた。しかし、当然の事ながら施錠をされている。
「よし、多少大きな音を立てても誰も来ないだろうからバシっとカギを壊しちまえ!」
「なんで人が来ないってわかるんだよ、バカか?」
「そうだよ、さすがに静かにやらんとダメだろ。アホか?」
「……ネタがねぇ」
「どいつもこいつも真面目にやれよ!」
格子状に組まれた鉄棒に扉が組み込まれていて、大きな鍵がかけられていた。パーティの1人が近づいていき、金属のやすりを腰に付けた袋から取り出した。
「多少時間はかかるが、交代で削っていこうか」
鍵の留め金付近を削り始めた。
ゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリ…ゴリゴリゴリゴリ
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