43話
そろそろクライマックス。
ポテチ王国の凍土地帯に入ってから10日が過ぎていました。探せど探せどホワイトドラゴンの気配すら掴めず、困り果てています。
探索初日に日暮れと同時に立ち止まり、食事の用意をしていたのですが、地吹雪によって飛ばされてくる雪に、魔法障壁ごと埋められてしまうというのが解りました。いくら軽そうな雪とは言っても寝ている間に酸欠になってしまっては大変だと思い、どうにか雪を避けられそうな岩場を探す事となり大変な1日でした。
そしてこうも思いました、ホワイトドラゴンも同じ理由で地吹雪の起きないところに潜んでいるのではないかと。そんな予想を立てて2日目からは山岳地帯まで空路で移動し、そこから改めて索敵を始めたのです。
そんな日々を過ごしていれば当然気が滅入ってきます、一度人里に戻って休養しようかと思いましたが、現在地を把握できないので次の索敵で困ると思ってやっていません。しかし精神的にはそろそろ厳しいですね…
「ん!なんですか今のは?」
突如魔力の波のようなものが押し寄せてきたのです、かなり広範囲に飛んでいったのでホワイトドラゴンの仕業かもしれませんね、警戒しましょう。
「また来ましたね、もしかしてこれは魔法探知をしているのでしょうか?それであれば私の事は捕捉されてるのかもしれませんね」
今のが魔力探知の波動であれば、確かに過去に遭遇したドラゴンのように警戒態勢に入ってしまうのは仕方がない事ですね。
魔力が飛んできたのは北の方、これは早急に確認しないといけませんね。
警戒態勢を強めながら魔力を感じた方向に進みだしました。歩き難い足場なのでいつでも回避行動が取れるよう少しだけ浮いた状態です、速度を上げると回避の難易度が上がってしまうのでゆっくり目。
「とうとうここまで来たか、創造神の使徒よ」
「どちら様でしょうか?私がこの地に来ることを知っていた感じに聞こえますが」
魔法障壁を強め、いつでもレーザービームを放てるよう自身の魔力も高めておきます。会話ができる時点でホワイトドラゴンではないと思いますが、突然攻撃されては困りますからね。
声をかけてきた以上私の位置は探られてると判断していいでしょうね、となれば、こちらも探知魔法を使って相手の位置を把握しておきましょうか。
魔法探知を放つと、すぐ近くに大きな反応がありました。これほどのサイズであれば完全に人間ではないですよね、と言うか…これは
「待つのだ、我に戦う意思はない。話し合いを所望する」
「話し合いですか、それであればこちらも望むところですが」
「今姿を現す、攻撃しないでくれよ?」
「わかりました、どうぞ」
すると、山肌に雪がついているとばかり思っていた場所の雪が崩れ、真っ白な体躯に真っ赤な目をしたドラゴンが現れたのです。
「貴方がホワイトドラゴンですか?」
「そう言われておるな、ともかく我に争う意思はない事を理解してくれ」
「それで、話し合いの議題はなんですか?」
「うむ、まずは何故我が狙われているのかを知りたいのだ。其方が他の竜種を討伐しておるのは知っているからの」
「そうですか、私が創造神フローラ様から受けた使命は、大地に仇なす竜種の討伐です。各地にいたドラゴンは大地を燃やし、水で流し、そして切り裂いていました。最後に貴方の事ですが、凍土が徐々に南下していき、不毛の地が増えていくからとの事です」
「そうであったか、我は元から創造神と事を構えるつもりなど無かったのだ、そこで我から其方に提案があるのだ」
「提案ですか?それは何でしょうか」
ホワイトドラゴンが体勢を変え、足元の雪原に頭を付けてきました
「我は其方に降伏をする、創造神の危惧する凍土が広がらぬよう住処を更に北に変えよう。我を其方の従魔として認めてもらい、我の身の安全を確約してもらいたい」
「降伏…ですか。貴方は人間である私の軍門に下るというのですか?竜種にとって人間とは食料か何かだと思っていましたが」
「他の竜はそうだったのかもしれぬが、我は別に人間を喰ったりはしない。己の魔力によって変質した氷を喰っていれば飢える事は無いからな」
「そうなのですか、私個人としては貴方の提案は受けても構わないと思うのです。創造神様に確認をしてみますね」
「どうか頼む、我は元々争い事は好きではないのだ、それに命は惜しいと思っておる」
未だに雪原に頭を付けているホワイトドラゴンを横目に少し下がって集中する。
「フローラ様、現状を見ていらっしゃるでしょうか?」
『うむ、見ておるぞ。ホワイトドラゴンの提案、アリシアの判断で受けても構わんと思っておる』
「そうですか?それであるのならば私は受けたいと思います。この地が寒いのは地理的な状況もありますし、今よりも北へ引っ越しなさるそうなのでこれ以上凍土の拡大は無いと思います」
『うむ、それでは認めよう。ホワイトドラゴンよ、其の方は本日より我が使徒アリシアの従魔としてアリシアの指示に従うがよい。これ以上不毛の地が増えぬとなれば我がこれ以上言う事は無い』
「承知した。以降使徒アリシアを主として生きていこう」
フローラ様からの承認が得られました、もしかして…これで私はドラゴンテイマーって事になるのでしょうかね。 冗談はさておき、ホワイトドラゴンの今後について考えましょうか。
「まずは、其方の従魔となった証に名を付けてくれぬか」
「な、名前…ですか」
「問題があるのかの?」
「いえその、名付けのセンスというものがですね」
「其方が決めた名であれば文句はないぞ、主よ」
「そうですか、それでは…んー」
急に名付けと言われて困りましたが、えーと 真っ白い体が綺麗ですね。いやそうじゃなくて!あうー、もうこうなったらシロでいいんじゃないでしょうか?いいですよね?白いし。ハクというのも良いかもしれませんね、こっちにしましょうか。
「それでは、貴方は今日からハクと名乗ってください」
「ハクだな?承知した。それで住処についてだが…」
色々と話をしてみると、どうやらハクから漏れ出す魔力が冷気を伴っているようで、風向きによっては南へと流れていってるそうなのです。
それで大陸の北端まで引っ越ししてもらい、冷気が南に流れていかないよう自然の山を壁にして様子を見る事から始める事となりました。
ともかく、これでやっとフローラ様からの依頼は達成できたという事になりますね。良かったですよ!




