15話
のんびり不定期連載です
「ここが王都カリーナですか、書物で見た情報と差異を感じますね。 書物では人口は多いけど原始的な町だと書いてあったと思いますが、これは充分都会だと言えますね」
王都カリーナの門をくぐり、中に入った感想がそれだった。 ここに来て初めて入場時に身分証を求められ、ギルドカードを使う事になりました
「まずは市場ですかね、野菜と果物を買い占めてきましょうか」
颯爽と町の中にすべり込んでいった
賑やかで随分と栄えているように見える王都の街並みを見ながら散策していく。時折見かける露店なんかもしっかりチェックしつつ市場を見つけた
「これは…賑やかな雰囲気とはうって変わって貧相な品揃えですね、天候不良でもあったのでしょうか」
見た所、野菜も果物もみんな小ぶりで栄養満点とはとてもじゃないけど言えないような物ばかり、これは気になりますね
「野菜も果物も随分と小さいですけど、何か農家に問題でもあったんですか?」
「おういらっしゃい。野菜も果物もこの国じゃこれが普通だぞ?お嬢ちゃんは東の方から来たんだろ?東の方は随分と野菜が育つらしいからな」
「そうなんですか?確かに私は東の果てのガーナ王国出身ですけど、ここまで違うものですかね」
「いやーそれが、最近までずっと謎だったんだけど、先日の神託で腑に落ちたというか、なんか納得しちまってよ」
「ええ?神託にそんな話はありましたか?」
「だってアレだろ?創造神フローラ様の愛し子がガーナ王国にいたんだろ?という事は、土地にも加護があって肥えていたんだなーと皆で納得しちまったんだよ。とはいえ、なんか罰が当たったみたいだからこれから痩せていくんだろうなーとも思ったわけよ」
「ははぁなるほど、確かにそれはありえますね」
「だろ?という訳で、この国じゃこれが普通なんだよ。なんか買ってくかい?」
「そうですね、では果物を全部下さい」
「は?全部って…結構な金額になっちまうぞ?」
「大丈夫です、しっかりと稼いでいますから」
「そ、そうか?それはそれは毎度有りぃ」
市場にいたおじ様との世間話で思わぬ話を聞いてしまった。確かに言われた通り、ずっと見守られていたのだとすると、そういった事もあり得る訳で…創造神様って自重しないんでしょうか。
それから他のお店でも色々と買い込んで収納しておく。買い物が済んだのでギルドにでも顔を出してみましょう、孤児院の場所も聞いておきたいですからね
さて、ギルドに到着しましたが、仮にもフォース王国の王都 無作法な冒険者はいるのでしょうか… もし絡まれた場合殴ってもいいんですかね、そういえば登録時になんか説明されましたが忘れてしまいました。 しかし殴るとなればアレですかね、捻りを加えたコークスクリューパンチが有効的ですかね。この小柄で一見非力な女性が鎧を着こんだ冒険者を一撃で吹き飛ばす…ロマンを感じますね。
ギィィィィ
ギルドの扉は軋んだ音を立てながら開いた。するりと入り込み、目だけを動かし周囲の様子を探る… うん、何も起きません。人はそこそこいるんですが、身なりに気を付けた感じのする冒険者が多いですね。 やはり王都なので、要人や大店の商人などの護衛の仕事が多いんでしょう
私もフード付きのローブを纏っているのできっと目立たないのでしょうね、良い事です。 まずは依頼票でも見てみましょうか、この地ではどのような素材収集の仕事があるんでしょう、おいしそうな食べ物の仕事でしたら受けてもいいかもしれませんね。
ジロジロ… ジロジロジロ… ジロ…
護衛の仕事ばかりではありませんか!他にあったとしても子供用のゴミの収集やら下水の掃除など、これは滞在する意味はありませんね!断言します。 孤児院の場所だけ聞いて王都を出ましょうそうしましょう。
「少し聞きたい事があるのですが、ここの窓口でよろしかったですか?」
5つある窓口の中で、真ん中に位置する窓口だけ誰も並んでいなかったので突撃してみます。この窓口の受付嬢はなんと! 濃い目の紫色の髪をしています!ガーナ王国を始め、トリュフ王国でもこの色の髪は見ていませんね。
「はい、王都カリーナのギルドへようこそ。 どのようなご用件でしょうか?」
「この町にある孤児院の場所を聞きたかったのです。少しばかり寄付してこようかと思いまして」
「それは高尚なお考えですね、私も孤児院で育った身なのでとてもありがたい申し出です」
この広い王都には3か所の孤児院があるとの事、更にはスラムのような場所もあり、孤児院には入れなかった子供達もかなりの数がいるそうです。これだけの人口を抱える町なら仕方のない事かもしれません。
1軒の孤児院は、フォース王国の北側の隣国である聖王教国グロスが大陸全土に展開している教会の所有する孤児院。なぜか見目の良い子供達ばかりがいるそうです、教会が運営しているのならスルー案件でしょうか。後の2軒は民間の孤児院だそうで、国が多少支援しているみたいですね。早速様子を見に行ってみましょう。
しかし聖王教国の教会ですか…一応王妃教育の時に見た書物に書いてあったのを見ましたけど、教義は『世界の平定』と掲げておきながら、大陸全土に教会を設置し、他国を監視しているのではないかと黒い噂のある宗教国でした。祀っている神様は創造神フローラ様ですが、神託を得て活動していると公言しているあたり胡散臭いですよね。今度会える時があれば聞いてみましょうか
まずは1軒目の孤児院に着きました… いやぁこれは、先日見たタライの町の孤児院が綺麗に見えるくらいのボロさですね! 立地も外壁の脇で、町の中にいながら辺境を味わえる土地です。これは国から支援を受けているのか本当に疑わしい感じです、もしくは孤児院の先生が横領しているとしか。 これはもう入ってみるしかありません、いざ!出陣!
ズンズンと入り口らしき扉を開けて中に入ります。そしてまずかんじたのはカビの臭い、ちょっと衛生的に良くないですねこれは。 見渡すと土の地面に直接毛布やなんかをひいて寝泊りしているようです、これだとすぐ病気になってしまいますよ、いけませんこんなんじゃ。
「どちら様ですか?」
ここの先生だと思われるお婆ちゃんが歩み寄ってきました、このお婆ちゃんも痩せこけていますね。
「旅の者です、この孤児院に現物ですが寄付をしに来ました。職員の方でオークの解体が出来る方はいますか?」
「寄付ですか…それはそれはありがとうございます。ここにいる子供達も毎日ゴミ拾いなどで働いているのですが、なかなか満足に食べることは出来ていないので喜ぶと思います。オークの解体でしたら私が出来ます」
「そうですか、それでは解体をお願いして子供達が食べるスープでも作りましょう。もちろん先生方も一緒に食べてくださいね、先生方に倒れられたら子供達も困るでしょうから、全員で健康にならなければいけません」
案内された解体場をまずクリーンの魔法で清潔にしてオークを1頭出します。 私が持っていたナイフをお婆ちゃんに貸し解体をお願いします。 解体している間に孤児院の内部を全面洗浄。
これはなかなか大変な作業になりますね




