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Heinvia Story  作者: Frey
首都フィンデンスタイン
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25/27

Awakening

【一意専心】

効果時間中、防御力の一部を攻撃力に変換し、さらにAGIを上昇する。


【一気呵成】

ダメージを受けることなく攻撃を命中させると、与ダメージが上昇する(最大倍率2倍)



剣聖ジョブの自己バフを2つ発動させ、敵陣に先駆けて突撃する。

多数の敵を相手にすることになるため、スキルを連発する余裕はない。

通常攻撃のみで仕留めるためのダメージ上昇バフだ。



「飛ばしていくぞ、少しでも足を止めたら袋叩きだからな?」


「分かってるよ、遅れた時の事を考えた方が怖いからね。」


俺の後ろにルード、その後ろにルイーズとオレイヤが並ぶように続いている。

配置の指定まではしていなかったが、流石は指折りのハンター達だ、最適な配置を取っている。


両脇から攻めてくるモンスターを防いで迎撃するなら、ルイーズが最後尾になる必要があるが、後方から遠距離攻撃を仕掛けてくるルイーズを守るために並行してオレイヤがカバーしている。


さらに、ルードの手が足りなくなった時は、適時ジェイミーかジェレミーをヘルプに出せる彼女だからこそできる防御配置だ。


(さて、被弾が許されないなら俺も集中しなくては...)


「ルーちゃん、フィルちゃんって何者なのかしらね?」


「どうしたの突然、レイドの時の話はしたでしょ?」


「亡命者ってのは聞いたわ、でも元々どんなハンターだったのか気になるの。少し一緒に戦って分かったけど、ただものじゃないわー。」


「...なぜそう思うの?」


「まず、一介のハンターなら消耗し尽くした上に終わりが見えない敵の軍勢を見せられて、あそこまで冷静に敵の考えを分析して反転攻勢が最適なんて結論出せるかしら?それに、今すでにその実力の一端を見せつけられて想像以上に驚いている所よー。」


「剣聖ジョブって初めて見たけど、すごい攻撃力ね。」


「ジョブもそうだけど、立ち回りが違うわ。ルーちゃん気付いてる?撃ち漏らしは頼むって言ってたけどそんなの一匹も出てないわ、しかも私とルードちゃんが防御しやすいように回り込まれそうな敵に牽制も入れてくれてる、それにおそらくだけど...」


「おそらく...?」


「フィルちゃんはより強いモンスターがいる方へ進んでいっているわ。相手の親玉からしてみれば、自分の位置に近くなるにつれて防衛用の強い個体を配置するわよね?でも、消耗を考えたらある程度は迂回してでも温存したルートを選んだほうが良いのに、よほど腕に自信がないと出来ない芸当よ。」


「気に入った?マスター。」


「えぇ、想像してた以上の人物だわー。是非、今後とも仲良くして欲しいわねー。」





そんなやり取りが行われているとは知らず、俺は敵の中枢と思われる場所へひたすら進んでいた。


既に、周りを取り囲むモンスターは雑魚と呼ぶには少々難があるクラスまで上がってきている。

だが、そんなモンスターの集団が忽然として途切れるラインが見えた。


「群れを抜けるぞ、何が起こるか分からない、気を抜くなよ!」



モンスターの集団を抜け、しばらく走り続けたが、後方から追いかけて襲ってくる気配はない。

すでに街道から外れた森の奥深くまで来てしまったが、どうやらここにアウトブレイクの原因があるようだ。


「静かだね、不自然なくらいに。」


「あぁ、その通りだ。前方に2つの気配がある。戦闘になる可能性が高いから、消耗してたら今のうちにポーション飲んどけよ?」



陣形を崩さずにさらに進んでいくと、2つの人影が見えてきた。

認識阻害の魔法がかけられたフードを被った大小2つの人影だ。


「あの状況でよくここまで進んでこられたわね。首都のレギオンはテンプレートな動きしかしないから、まだしばらくは見つからないと思ってたから驚いた。」


大きい方の人影が話し始めた。


「レギオン直属のハンター以外の働きまでは管轄外だからな。少し察しが良ければこんな作戦すぐにバレるさ。」


「そりゃそうか。」


「で、一応聞くがこの騒動を起こした理由と方法を教えてくれないか?」


「はっはっは!ストレートなのは嫌いじゃないけど、残念ながら教えてあげられないなぁ。それに、悪いけど察しのいいハンターは嫌いなんだ、死んでもらうよ?」



そう言い終わった瞬間、周辺の木々の陰から無数のモンスター達が飛び出した。

しかも、これまで戦ってきたモンスターとは異なりすべてが“中ボス”クラス以上と言っていいレベルの個体だ。


「っ全員ラインを下げろ!敵を前方のみに集中させて迎撃する!」


「分かった!」


囲まりきられる前に、即座に戦線を後退する。

4人いても、周囲を取られた状態で戦闘するのは愚の骨頂だ、1人がかけた習慣にあっという間に瓦解する。


「若干フォーメーション変更だ。ルードとルイーズがペアで後衛、魔法と回復支援に重点を置いてくれ。オレイヤと俺で前線を張る、どちらも防御と攻撃を両方担当だ。」


「人使いが荒いわよフィルちゃん。でも、泣き言は言ってられなそうねー。」


相変わらず気の抜ける話し方だが、オレイヤの表情にも焦りの表情が見えていた。



(これだけの数の強力なモンスター、どこから湧いてきた?いや、今は考えている暇はない)


余計な思考を降り払うと同時に、両腕が丸太のように発達したサル型のモンスター“マッドエイプ”と全身黒色の浮遊型モンスター“ドレッドシェード”が2匹ずつ襲い掛かって来た。


マッドエイプだけならまだ無力化は簡単だが、厄介なことにドレッドシェードに追従するように攻撃を仕掛けてくる。

ドレッドシェードは実体の無い影のようなモンスターのため、物理攻撃が通らない。

魔法攻撃か属性を付与した武器で攻撃する必要がある。


だが、装備の変更は波状攻撃をしてくる2体を捌いている間は無理がある。

そして、頼みの魔法攻撃持ちのルイーズには、“レイニートーチャー”が攻撃を仕掛けていた。


ルードがカバーに入っているためダメージは受けていないが、レイニートーチャーは周囲の木々に擬態して、地中から狙った対象へ根子を伸ばし遠隔攻撃をする。


本体を探すにもこの状況は非常に難しい。



「小賢しい!」


【断空】

剣閃と共に斬撃判定をもつ衝撃波を飛ばす



接近してくるドレッドシェードを切り払う“ふり”をしてスキルを発動させる。

剣はドレッドシェードをすり抜け、振りぬかれた剣撃から斬撃が飛ぶ。


不意を突かれたマッドエイプは避けることが出来ず直撃し胴体から2つに分かれて絶命した。


オレイアと合流してカバーに入ろうと考えた矢先、複数のモンスターが俺に突撃してきた。

トカゲ型の大剣をもったモンスター“ルチェルトラ”と鍔迫り合いになり、視界の中にドレッドシェードとマッドエイプに苦戦するオレイヤの姿が映った。


「あなたが厄介なハンターだってのは攻め込んでくる時に分かったからね。悪いけど腰を入れて潰させてもらうよ!」


遠方で大きいフードの方の声が聞こえる。

そして、ついにマッドエイプの強力な攻撃に耐えきれずジェイミーのバックラーが砕け吹き飛ばされた。


「きゃぁっ!」


飛ばされたジェイミーを受け止めるように割って入ったオレイヤだが、勢いを殺し切れず転倒してしまった。



すかさずマッドエイプとドレッドシャードが接近し、無防備なオレイヤにまさに攻撃を仕掛けようとしていた。







甘く見ていたかもしれない。

どこかで、失敗しても、負けても、また挑戦すればいい。成功するまで、クリアするまで何回でもやればいい。

そう思っていた自分がいた。


それではダメだ。

もしもこの世界で、仲間を、大切な人を失ったら2度と帰ってはこない。

あの時のように、セーブポイントに戻って次はどうしようかなどと笑い合うことはできない。


またハインヴィアの世界を笑って生きていきたいなら、俺は強くならなくてはならない。

今まで以上に、誰の追従も許さずに、完膚なきまでに。




“【踏破者の心得】が【頂を往く来訪者】へ変化しました”


“【鑑識眼】が【予見の慧眼】へ変化しました”


“固有アビリティ【戦場に吹く陣風】を獲得しました”


“条件達成によりエクストラジョブ【グラディウス】を開放しました”


“条件達成により【グラディウス】が【ウォーロード】へ変化しました”

・ジョブアビリティ【リレイトアーツ】が使用できます

・ジョブアビリティ【マスターアームズ】が使用できます




一瞬でオレイヤの前に移動しドレッドシャードとマッドエイプを両断する。


かつての栄光を胸に、もう一度この言葉を言おう。




「さぁ、楽しく勝利を収めるとしようか。」


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