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バグ個体に転生した俺、魔物として進化しながら人間社会を喰らう  作者: HATENA 
第1章「異常個体」

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第9話「異物」

 ――見られている。


 その感覚は、はっきりしていた。


 気配。


 匂い。


 わずかな動き。


 視界に直接映らなくても、分かる。


 周囲にいる魔物たちが、こちらを意識している。


 警戒。


 距離。


 動きの鈍り。


 明らかに、反応が変わっていた。


 牙獣鼠。


 腐敗人形。


 どちらも同じだ。


 近づかない。


 逃げもしない。


 ただ、様子を見ている。


 ……妙だ。


 普通なら。


 弱ければ襲われる。


 強ければ逃げる。


 だが、今は違う。


 中途半端な距離を保っている。


 まるで。


 “判断できない”ように。


 ……理解する。


 俺が。


 異物だからだ。


 強さが、分からない。


 分類できない。


 だから、近づけない。


 その結論に至る。


 同時に。


 それを理解できている自分に、わずかな違和感を覚える。


 ……まあいい。


 問題はない。


 むしろ、都合がいい。


 襲われない。


 なら。


 こっちが選べる。


 どれを食うか。


 どこで狩るか。


 すべて。


 その時。


 視界の端で、動き。


 牙獣鼠。


 一体。


 距離は遠め。


 だが、逃げない。


 こちらを見ている。


 ……試す。


 ゆっくりと、近づく。


 反応する。


 だが、逃げない。


 距離を取るだけ。


 ……なるほど。


 完全に敵としては見ていない。


 だが、安全とも思っていない。


 中間。


 その状態。


 ……なら。


 踏み込む。


 一気に距離を詰める。


 牙獣鼠が、ようやく動いた。


 遅い。


 そのまま覆う。


 沈める。


 溶かす。


────────────────────────

【システム】


牙獣鼠(F)を捕食しました

経験値を獲得


────────────────────────


 ……問題なし。


 抵抗も、ほとんどない。


 他の魔物は、動かない。


 ただ、見ている。


 ……いいな。


 その感想が浮かぶ。


 狩りやすい。


 圧倒的に。


 競争がない。


 邪魔も入らない。


 完全に。


 自分のペースで進められる。


 その時。


────────────────────────

【エラー】


識別不能個体として認識されています


────────────────────────


 ……識別不能。


────────────────────────

【エラー】


分類:失敗


────────────────────────


 ……やはりか。


 他の魔物だけじゃない。


 “システム側”でも、認識できていない。


 つまり。


 俺は。


 枠の外にいる。


 その理解が、静かに広がる。


 だが。


 それを恐れる感覚は、もうない。


 むしろ。


 都合がいい。


 誰にも、読めない。


 誰にも、測れない。


 それは。


 圧倒的な優位だ。


 ゆっくりと、周囲を見渡す。


 魔物たちが距離を取る。


 道が、空く。


 まるで。


 避けられている。


 ……悪くない。


 その感想が、自然に浮かぶ。


 そして。


 さらに奥へ進む。


 この領域。


 この環境。


 すべてが、自分に有利に動いている。


 その認識を持ちながら。


 俺は、次の獲物へと向かった。

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