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バグ個体に転生した俺、魔物として進化しながら人間社会を喰らう  作者: HATENA 
第5章「歪み」

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第4話「拡散」

 仮説を立てた直後から調査班を三方向に分け、外周・内部・中心へ同時に展開させた結果、現象の解明どころか発生範囲と頻度が急激に増加し、観測行為そのものが歪みを刺激している可能性が浮かび上がる。


 進めるほど悪化する。


 だが、止めれば終わる。


 「……続行だ」


 外周班。


 町の境界付近。


 門の近く。


 「ここから外に出られるはずだ」


 男が一歩踏み出す。


 その瞬間。


 同じ位置に戻る。


 「……は?」


 もう一度。


 踏み出す。


 戻る。


 「……動いてない?」


 「いや、歩いたぞ」


 記憶はある。


 だが、位置が変わらない。


 「……ループか」


 繰り返す。


 何度も。


 「……出られない」


 内部班。


 市場。


 人が多い。


 「異常はここが中心に近いはずだ」


 観測を開始する。


 紙に書く。


 動きを記録する。


 その瞬間。


 全員が同時に止まる。


 ペンが止まる。


 「……何だ」


 次の瞬間。


 全員が同時に書き始める。


 だが――


 内容が一致しない。


 「……読めない」


 文字が歪む。


 意味が崩れる。


 「……記録が壊れる」


 中心班。


 町の中央。


 「ここだ」


 空間がわずかに歪む。


 「見えるか?」


 「……何も」


 個体差。


 「……測る」


 魔力感知。


 位置測定。


 同時に実行する。


 その瞬間。


 装置が停止する。


 数値が消える。


 「……反応しない」


 「……いや」


 次の瞬間。


 数値が一斉に跳ね上がる。


 異常値。


 「……測れない」


 全班。


 同時刻。


 同時に異常発生。


 「……連動してるな」


 本部。


 報告が集まる。


 「外に出られません!」


 「記録が取れません!」


 「中心が特定できません!」


 声が重なる。


 「……分かった」


 静かに言う。


 「……全部繋がってる」


 外周。


 内部。


 中心。


 区別がない。


 「……領域が広がってる」


 誰かが言う。


 「……違う」


 否定する。


 「最初から広い」


 ただ――


 「……見えてなかっただけだ」


 沈黙。


 「……撤退しますか」


 部下が聞く。


 「……無理だ」


 理由は単純。


 「外に出られない」


 結論。


 詰んでいる。


 「……進むしかない」


 男の視点。


 調査を進めるほど現象が悪化していることを理解しながらも、それが“観測しているから悪化している”という可能性を認めてしまえばすべての行動が無意味になるため、その考えを意図的に切り捨てて前に進むしかないと判断している。


 通り。


 人の流れ。


 さらにズレる。


 同時停止。


 同時動作。


 衝突。


 混乱。


 「……広がるな」


 一方。


 通りの中。


 歩く。


 止まらない。


 「……増えたな」


 異常が。


 明確に。


 「……いい」


 調査している。


 観測している。


 だから――


 「……広がる」


 視線を上げる。


 町。


 すべてが繋がる。


 「……効率がいい」


 歩き出す。


 止まらない。


 迷わない。


 「――そのままやれ」

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