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バグ個体に転生した俺、魔物として進化しながら人間社会を喰らう  作者: HATENA 
第4章「潜入者」

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第17話「崩壊前夜」

 夕刻の町を歩きながら、昼に噴き出した異変が一度沈静化したように見える一方で、内部ではまったく収束しておらず、むしろ“崩れる方向で安定している”ことに気づき、それが回復ではなく“固定された異常”であると理解する。


 静かだ。


 だが、戻っていない。


 「……整ってるな」


 通り。


 人の流れ。


 動いている。


 問題なく。


 だが――


 視線が揃う。


 動きが揃う。


 反応が同時に起きる。


 「……逆だな」


 自然ではない。


 だが、崩れてもいない。


 「……固定されたか」


 店の前。


 客が並ぶ。


 「次の人」


 一人が出る。


 問題ない。


 だが、その後ろ。


 全員が同じ動きを繰り返す。


 同じタイミングで。


 「……繰り返しだな」


 ループしている。


 微細に。


 「……気づかないか」


 誰も違和感を持たない。


 ギルドへ入る。


 空気が重い。


 だが、静かだ。


 「……沈んでる」


 「おう」


 声がかかる。


 いつもの男。


 「……ああ」


 「今日どうする?」


 「……これだな」


 「分かった」


 同じ流れ。


 同じ会話。


 「……繰り返しだ」


 言葉。


 反応。


 判断。


 すべてが“既視”になる。


 「……止まらない」


 男がこちらを見る。


 「……なあ」


 止まる。


 「……何だっけ」


 言葉が消える。


 「……いい」


 流す。


 「……それでいい」


 異常が“前提”になる。


 「……完成だな」


 男の視点。


 日常が正常に戻ったように見えるが、どこかで同じ会話や同じ動作を繰り返している感覚があり、それを指摘しようとすると頭の中で言葉が消えてしまい、そのまま受け入れてしまう。


 「……閉じてるな」


 外に出る。


 通り。


 夕焼け。


 光が歪む。


 「……綺麗だな」


 だが――


 同じ風景が、わずかに繰り返される。


 「……ループか」


 時間すら揺れている。


 「……深い」


 視線を上げる。


 空間。


 向こう側。


 観測者。


 「……来てるな」


 数が増える。


 密度が上がる。


 だが――


 「……遅い」


 すでに。


 「……終わってる」


 崩壊は始まっている。


 止められない。


 「……いい」


 歩き出す。


 止まらない。


 迷わない。


 町の中心へ。


 すべてが揃う。


 すべてが歪む。


 「……明日だな」


 確信する。


 「――壊れる」

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